第4話

𡔉
2,228
2021/12/24 18:01
俺はイザナが少年院にぶち込まれた時、俺は実感がなく軽く考えていた。 
鶴蝶も居るし、たかが数年程度なら大丈夫と高を括っていたのだ。
だがイザナが居ない日々を過ごしていく内に日に日に俺はおかしくなっていった。


薬にも手を出した。粗悪品だから上手くキマらなかったが。
鶴蝶はよく心配してくれた。
だが俺はその心配してくれた鶴蝶さえラリってる時は殴った。
そして薬にまで手を出し、限界だった俺は必死にイザナの情報を集めた。
どうやら少年院では仲間を集め、楽しくやっているらしい。
それなら俺が水を指すのも不躾だ。俺は泣く泣く殴り込みに行くのを我慢した。



暫くし、頭が冷えた俺が思い出したのはシンイチロウの事だった。
確か俺が少年院出た時もシンイチロウは居らず、鶴蝶のみ居た……

鶴蝶が出迎えてくれた時少し気まづそうにしていたのはそのせいだろうか。
幼い頃の黒川
やっぱりイザナを選ぶんだな。シンイチロウ……
その事を思い出し、思考を巡らせていく内に
僅かに残っていたシンイチロウへの希望は失せ、憎悪に変化して行く。

俺を、俺だけを見てくれるやつだと信じてた。
俺だけのオニイチャン。俺だけのモノ。ずっとずっと信じてた。


なんでイザナを選ぶだよ。なんで、なんで………
幼い頃の黒川
ぜってぇ殺してやる。
俺だけのオニイチャンじゃないならそれはもう赤の他人だ。
赤の他人に愛しい弟と弟分を触らせるなど想像しただけで鳥肌が立つ。

それならそんな男は必要ないだろう。
俺にとっても、イザナにとっても、鶴蝶にとっても。
幼い頃の黒川
そうだ、俺は孤独じゃない…
イザナも鶴蝶も居る。
俺はシアワセ。そう、幸せなのだ。


その幸せを奪っていく男など、不必要だ。
勿論、シンイチロウは初代黒龍総長なのでそう簡単には手出しできない。
無理くり殺したとてシンイチロウを慕っていた奴らに
後ろ指刺されて生きてくのはゴメンだ。俺のプライドが許さない。



そう、そこで目をつけたのが
幼い頃の黒川
羽宮一虎……
彼、羽宮少年は幼い頃から虐待を受けていて精神力が非常に乏しい。
これなら簡単に思い込ませることが出来る。
更に彼は口より手が先に出るタイプという非常に扱いやすい性格をしている。


そして極めつけは、彼は佐野万次郎のダチでありながら
その佐野万次郎の幼なじみで、佐野家と交流が深いの場地圭介の親友なのだ。

こんなにも都合のいい駒が居るとは………とても驚いた!!
少し自信家すぎる所が難点だがそこはいくらでも改善できるだろう。
幼い頃の黒川
……試しに交流でもしてくるか。
これまでの流れをノートに書きまとめておく。

嗚呼、2人との幸せな未来が見えてくる。
シンイチロウを殺したあとはどうしようか。
イザナのダチも連れて王国でも作ろうか。拠り所がないヤツらの為の王国。

それか3人だけで暮らすのもアリだなぁ……


場合によっては、黒川カレンも佐野エマも佐野万次郎も。黒龍の初代メンバーも。
そのダチも。そのダチの家族も。想い人も。
全て、全て幸せのためになら俺はなんの躊躇いもなく殺害するだろう。

段々と幸せになれるビジョンが見えてきて
自然と頬がにやけていく。
幼い頃の黒川
嗚呼……楽しみだ。
暗い部屋の中、ニヤけた顔を必死に抑えながら
ノートを書き進めていくその姿はとても不気味に見えただろう。
計画を立ててから俺は羽宮少年と交流を深めて行った。
1回喧嘩を吹っ掛けて勝って、ダル絡みしていけばすぐに心を許してくれた。

案外単純なヤツなんだろう。
俺はイザナが少年院にいる間、着々と交流を深め、
羽宮少年に歪んだ思想を刷り込ませて行った。怪しまれない程度に少しずつだが。

そうだな……例えを挙げるなら
例えば殺しや盗みは全く悪くない。悪いのは気を抜いた相手だ。
普段買えないようなものを盗むと高揚感が増し、自分が幸せになれる。
それに……人を殺すのは悪者だが、敵を殺すのは英雄、だろ?

周りの人間には全く怪しまれなかった。
勿論親にも。そもそも虐待に対して忙しく、
息子の状態を気にかけられるほど余裕を持ち合わせてないだろう。


だが場地圭介……場地少年は俺の事を少し怪しんでいたようだ。
野生の勘という物なのだろうか。話していて馬鹿だと思っていたが彼は勘が鋭い。
幼い頃の黒川
場地圭介…
注意しなきゃ行けない人物だな。殺害も視野に入れるか。
勿論、当時は殺害を視野に入れていた。
だって、幸せには必要のない、なんなら邪魔になる人物だ。



……………え?今の計画ではどうなのかって?


安心してくれ。場地推しの皆。
現時点では殺害は視野に入れてないよ。
シンイチロウを殺害した時点で危険性はないと判断した為だが。


現時点での話、だが。
     


























































コメント
主
男主の考えが歪んでると思いましたが
幸せの価値観は人それぞれですからねぇ…?
主
まぁ、男主にとっての幸せはそれなんでしょう。
他の人にとっては知りませんが。

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