第17話

#17
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2025/02/15 09:00 更新
昔、そこでは“魔女裁判”が行われていた。



彼女は、とある人間に呼び出されたんだって。



『…なに?!』

「…………あ、」

「…あんた、悪魔?」

『どういうこと、なの…』



足元に描かれた魔法陣、
床に等間隔に置かれる蝋燭は蝋を垂らしている。

分厚い本を抱えて重い前髪からこちらを冷たい、
生気のない瞳で見据える人間。

状況を理解するには、余りにも簡単すぎる。



『私を…召喚したの?』

「うん、そう。」

『……なんで』



なんで、は別に呼び出した理由なんかじゃなくて。

魔法陣で呼び出されるのは下級の悪魔だと決まっていたから。



それが、Dominantの彼女が呼び出されてしまった。

魔法陣の不備か、神の思し召しか。



それとも………この人間の、



才能か、感情か。




「悪魔契約、させてくれるんでしょ?」

「…美しければ」

『…っ、』



その瞬間、理解した。

この人間は、わざとDominantである私を呼んだのだと。



力の強いDominantと悪魔契約することで、
その怨念をより強固にし、滅亡へ運ぶために。



『…何がしたいの』

「………辞めさせるんだ」

『え?』

「…今、この世界では“魔女裁判”が行われている」

「あんたも知ってるだろうけど、魔女裁判の対象は
女だけじゃない、男も…。」

「何かの罪にかこつけて、
悪魔と契約しただのなんだの無理やり因縁付けられて、
虚偽の証拠と抵抗のできない自白、最終的にはみんな火炙りさ」

『…そうね』

「…俺の兄さんも、火炙りにされたんだ」

「ここと同じ作りの部屋がバレて、
悪魔研究をしていた兄さんは捕まった」

「でも、兄さんはまだ悪魔契約をする前の段階だった」

「だから俺が証明するんだ」

『…自らの悪魔契約を以て、
悪魔契約をしていないのに火炙りにされる人間を救おうって?』

「…そう、なかなかに物わかりがいいね、さすがDominantだ」

『やっぱり…わかってて私を呼んだの』

「そうだよ、これは」



「Dominantを呼ぶ、召喚魔法陣だ」





俺の魂を捧げるから、俺を君と同じにして。

俺が、こんな世界を変えるんだ。





そう告げた彼の目は途轍もなく綺麗で、
彫刻みたいに美しいその顔に思わず手を伸ばした。



まだ、まだ食べるには青すぎる。



どうせなら、少年がもっと熟してから、
美味しくなるまで育ててから食べたいものだ。

私がそれまでは彼のそばで、彼を見守る。



『…1ヶ月後のこの日。』

「え?」



その日、悪魔契約をしましょう。

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