

「さすが生徒会長!」 「やっぱあなたの下の名前すごいわ〜」
そう言われると、もっと頑張らないと、完璧にしないとって言う気持ちからついつい夜更かしをしてしまう。
勉強して、もっと完璧にならないとって思いからどんどん睡眠時間が削れていく。
家事の時間も取らないといけないのに、勉強や生徒会長の仕事ばっかりに気を取られて、頭がまわらなくなっていく。
そんな事を言われても、私のなかに 「頼る」 なんて選択肢はない。迷惑かけるわけには行かないんだから。
また、捨てられないように。
今日も、帰りが遅くなった。
早く帰らないと、またみんなに心配される。
そんな独り言は、夕方の闇に消えていった。
…まただ。また、人任せにした。
今日はこれで3回目。
朝に亮平に洗濯物を回させたこと、
授業中、教科書を忘れて友達に見せてもらったこと、
そして今の蓮にお皿を洗わせてしまったこと。
何やってるんだ、この家族唯一の女なんだから、ちょっとくらいは家庭の役に立たないと。
これからは、生徒会の資料も持ち帰って自分の部屋でやるようにしよう。
そしたら、みんなに還元する時間が増えるはずだから。
私が我慢すればみんな幸せ。
このときは、まだそう思ってた。
亮平から、急に話を持ちかけられた。
どうしたんだろ、家族の中で問題でもあったのかな?私はあんまり聞いたことがないけど…
それか、私が何か迷惑かけてた?電気つけすぎて眠れなくなったとかかな…とにかく、早く行かないと。
「最近無理してない?」
その言葉に、一瞬胸が詰まった。
無理はしてるけど、みんなに知られるような程度にはしてないと思ってたし、まさか亮平に勘付かれるなんて…
とりあえず、笑ってごまかすしか…
“頼る”
その二文字は、私の頭のなかには存在していなかった。
でも、今更頼っても何の足しにも…
それから2週間後、案の定体調を崩した。
でも、学校を休むわけには行かない。とりあえず適当にご飯を食べて、薬を何個か飲んで家を出た。
お昼ごろになると、急激に体調が悪くなってきた。
そう言われたと思えば、急に身体が浮いた。
思わず、大きな声を出してしまった。
周囲はびっくりして振り向いて、急に恥ずかしさが襲ってくる。
そういうと、渋々亮平は私のことを下ろしてくれた。
そのまま保健室に行って、午後の授業は休むことになった。
嘘。…本当は、ずっと「しんどい」って言いたかった。
それは、本当。
嘘。…でも、一緒に帰りたいのは本当。
「みんなにも内緒な」
そう言ったお父さんは、意地悪そうな笑みを浮かべていた。
いつもは見ることのない背中が、すごく大きく見えた。
そう、目を見て言ってくれた。
いつの間にか、涙がこぼれていた。
その言葉に、すごく甘えたくなった。
そのまま色々話しちゃって、話しちゃ駄目なとこまで話しちゃって…終わった時には、涙が止まらなくなっていた。
その後、久しぶりにお父さんと手をつないで帰った。
お父さんの手は、昔と変わらず優しくて大きかった。




















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。