第68話

リクエスト 過呼吸
825
2026/02/22 03:29 更新
「さすが生徒会長!」 「やっぱあなたの下の名前すごいわ〜」

そう言われると、もっと頑張らないと、完璧にしないとって言う気持ちからついつい夜更かしをしてしまう。

勉強して、もっと完璧にならないとって思いからどんどん睡眠時間が削れていく。

家事の時間も取らないといけないのに、勉強や生徒会長の仕事ばっかりに気を取られて、頭がまわらなくなっていく。
岩本亮平
岩本亮平
!…あなたの下の名前!あなたの下の名前!
あなた
…!…え?どうしたの?
岩本亮平
岩本亮平
「どうしたの?」じゃないよ、最近睡眠とれてる?帰ってくるのも遅いけど…
あなた
大丈夫だよ、ちゃんと寝れてる。亮平は?大丈夫?
岩本亮平
岩本亮平
うん、大丈夫だよ。
あなた
ならよかった、しんどかったらいつでも頼るんだよ?
岩本亮平
岩本亮平
それはこっちのセリフだよ、俺も副会長なんだから、頼れるところは頼って?
あなた
わかってるよ、ありがとう。
そんな事を言われても、私のなかに 「頼る・・」 なんて選択肢はない。迷惑かけるわけには行かないんだから。


また、捨てられないように。
今日も、帰りが遅くなった。

早く帰らないと、またみんなに心配される。
あなた
そういえば、最近ずっと一人で走って帰ってるな…
そんな独り言は、夕方の闇に消えていった。
あなた
ただいま。
岩本辰哉
岩本辰哉
おかえりあなたの下の名前、最近帰り遅いけど大丈夫?
あなた
大丈夫だよ、気にしないで。
岩本辰哉
岩本辰哉
…副会長の亮平はすぐ帰ってくるよ?会長と副会長で仕事に差が出過ぎてるのはおかしくない?
あなた
大丈夫だよ、ちょっと課題やってるだけだから。
岩本照
岩本照
だとしても、
あなた
大丈夫だから。洗い物やっちゃうね?
岩本蓮
岩本蓮
俺がやるから、あなたの下の名前は先お風呂入ってきな?寒い中帰ってきて体冷えてるでしょ?
あなた
大丈夫
岩本蓮
岩本蓮
たまには、お兄ちゃんにカッコつけさせて?
あなた
…わかった。
…まただ。また、人任せにした。

今日はこれで3回目。
朝に亮平に洗濯物を回させたこと、
授業中、教科書を忘れて友達に見せてもらったこと、
そして今の蓮にお皿を洗わせてしまったこと。 

何やってるんだ、この家族唯一の女なんだから、ちょっとくらいは家庭の役に立たないと。

これからは、生徒会の資料も持ち帰って自分の部屋でやるようにしよう。

そしたら、みんなに還元する時間が増えるはずだから。
あなた
ただいま〜。
岩本翔太
岩本翔太
あ、ねえちゃんおかえり。…久しぶり。
あなた
久しぶり翔太、最近会えてなかったもんね。
岩本涼太
岩本涼太
姉さんおかえり、おやつできてるけど食べる?
あなた
涼太もただいま、おやつ作ってくれたの?ありがとう。
岩本大介
岩本大介
あ、姉ちゃんだ!今日ね、こんなことあったんだよ〜!
あなた
そんな事があったんだね〜、楽しかった?
岩本大介
岩本大介
うん!めっちゃ楽しかった!
あなた
そっか、ならよかった。
岩本翔太
岩本翔太
え?涼太作ってくれたの?食べる食べる、一人何個まで?
岩本涼太
岩本涼太
一人一個だよ、流石にケーキ一人何個も食べてたらおかしいでしょ?w
岩本康二
岩本康二
ただいま〜…姉ちゃんやん!おかえり!
あなた
ただいま、それどうしたの?
岩本康二
岩本康二
よくぞ気づいてくれた!これはな?美術で作ったやつやねん!どう?結構イケとるやろ?
あなた
すごい、上手だね!
岩本康二
岩本康二
ありがと〜!
岩本大介
岩本大介
姉ちゃん、早くケーキ食べよ!俺お腹すいたぁ〜!
あなた
はいはい、今行くよ〜!
私が我慢すればみんな幸せ。

このときは、まだそう思ってた。
岩本亮平
岩本亮平
…あなたの下の名前。ちょっと話、いい?
あなた
いいけど…急にどうしたの?なんかあった?誰か体調崩したとか?
岩本亮平
岩本亮平
そういうわけじゃ…俺の部屋で待ってるから、行ける時に来て。
あなた
…わかった。
亮平から、急に話を持ちかけられた。

どうしたんだろ、家族の中で問題でもあったのかな?私はあんまり聞いたことがないけど…

それか、私が何か迷惑かけてた?電気つけすぎて眠れなくなったとかかな…とにかく、早く行かないと。
あなた
入るよ…?いい?
岩本亮平
岩本亮平
もちろん、どうぞ〜。
あなた
えっと…どうしたの?話って…
岩本亮平
岩本亮平
…あなたの下の名前さ。
「最近無理してない?」
あなた
…え?
その言葉に、一瞬胸が詰まった。

無理はしてるけど、みんなに知られるような程度にはしてないと思ってたし、まさか亮平に勘付かれるなんて…
あなた
なんで?急にどうしたの?w
とりあえず、笑ってごまかすしか…
岩本亮平
岩本亮平
笑い方。この前と同じ、“無理してる” 笑い方してる。
あなた
無理してなんか…
岩本亮平
岩本亮平
してるから。…昨日も、夜遅くまで勉強してたの、知ってるよ?…たしか、3時くらい。
あなた
!…亮平、その時間起きてたの?
岩本亮平
岩本亮平
ううん、トイレ行ってただけだよ。…なんで、一人で抱え込もうとするの?俺たちに頼ってよ。
あなた
…。
“頼る”

その二文字は、私の頭のなかには存在していなかった。

でも、今更頼っても何の足しにも…
あなた
大丈夫、ちゃんとできるから。
岩本亮平
岩本亮平
壊れてからじゃ遅いんだよ?
あなた
…わかってるよ。
岩本亮平
岩本亮平
わかってるなら
あなた
でも!…やらないといけないから。本当に危なくなったらいうね?心配ありがとう。亮平も、体調崩さないように気をつけてね。
岩本亮平
岩本亮平
…わかった。あなたの下の名前も体調気をつけてね。
あなた
ありがとう。
それから2週間後、案の定体調を崩した。

でも、学校を休むわけには行かない。とりあえず適当にご飯を食べて、薬を何個か飲んで家を出た。
あなた
っ…
お昼ごろになると、急激に体調が悪くなってきた。
岩本亮平
岩本亮平
あなたの下の名前、一緒にお昼食べよう…あなたの下の名前?
あなた
?あ、亮平?どうしたの?
岩本亮平
岩本亮平
お昼どうかなって思ったんだけど…この調子じゃ無理だね、保健室行こ?
あなた
大丈夫だって、お昼食べに行こ?
岩本亮平
岩本亮平
だめだから。康二、ちょっとお弁当持ってくれる?
岩本康二
岩本康二
ええけど…何するつもり?
岩本亮平
岩本亮平
ちょっと浮くよ?
そう言われたと思えば、急に身体が浮いた。
あなた
ちょ、亮平?何して…
岩本亮平
岩本亮平
保健室までダッシュするから、気持ち悪くなったら言って?
あなた
大丈夫だって!
思わず、大きな声を出してしまった。

周囲はびっくりして振り向いて、急に恥ずかしさが襲ってくる。
岩本亮平
岩本亮平
何が?さっきも移動の時倒れかけてたよね?
あなた
…それは、
岩本康二
岩本康二
それは俺も知らんで?言い訳できると思わんほうがええで、亮平兄ちゃんって人のことすごい見てるし。
あなた
…わかった。でも、歩いていけるから。
岩本亮平
岩本亮平
…わかった。
そういうと、渋々亮平は私のことを下ろしてくれた。

そのまま保健室に行って、午後の授業は休むことになった。
岩本照
岩本照
失礼しま〜す…
あなた
お父さん!?なんで、ここ…
岩本照
岩本照
あ、起きた?おはようあなたの下の名前。
あなた
おはよう…なんで?
岩本照
岩本照
これ言っていいのかな…いうしかないか…亮平がさ、
岩本亮平
岩本亮平
『あなたの下の名前が体調悪いみたいだから迎えに行ってあげてほしい』
岩本照
岩本照
って連絡きたからすぐに飛んできた。
あなた
亮平が…?
岩本照
岩本照
…あなたの下の名前さ、熱ある?
あなた
熱?なんで?ないよ?w
嘘。…本当は、ずっと「しんどい」って言いたかった。
岩本照
岩本照
最近体調悪かったよね?しばらく学校休も?
あなた
体調なんて悪くないよ、受験生なんか体調管理が仕事でしょ?w
それは、本当。
岩本照
岩本照
…その仕事を全うできてないからこうなってるんじゃないの?
あなた
!…そんなことないよ、大丈夫。もう帰れるから、一緒に買い出しして帰ろ?
嘘。…でも、一緒に帰りたいのは本当。
岩本照
岩本照
買い出しは涼太がやってくれてるらしいから、一緒に帰ろっか。
あなた
…うん。
岩本照
岩本照
?…寄り道してから帰る?
あなた
でも…
岩本照
岩本照
みんなは辰哉が見てるから、ちょっと寄り道して、クレープでも食べてから帰ろ?
「みんなにも内緒な」

そう言ったお父さんは、意地悪そうな笑みを浮かべていた。

いつもは見ることのない背中が、すごく大きく見えた。
岩本照
岩本照
うまっ!やっぱここよって正解だったわ。
あなた
w…そうだねw
岩本照
岩本照
w…やっと笑った。
あなた
え…?
岩本照
岩本照
最近、あなたの下の名前の笑顔見なかったから。久しぶりに見れて、よかった。
あなた
そっか、ならよかったね。
岩本照
岩本照
…「完璧でいなきゃ」って思ってる?
あなた
え…?
岩本照
岩本照
やっぱり。俺は、まぁみんなそうだと思うんだけど…あなたの下の名前が元気でいてくれたらそれでいいんだよ。完璧だなんて求めなくていい。あなたの下の名前はあなたの下の名前でしょ?
そう、目を見て言ってくれた。




いつの間にか、涙がこぼれていた。
あなた
っ…これはっ、その、違くて…
岩本照
岩本照
違くないでしょ?本当はどう思ってたか、教えてくれる?
あなた
でも…
岩本照
岩本照
いいから。お父さんに話して?
その言葉に、すごく甘えたくなった。
そのまま色々話しちゃって、話しちゃ駄目なとこまで話しちゃって…終わった時には、涙が止まらなくなっていた。
あなた
ごめ…
岩本照
岩本照
ごめんじゃないよ。俺は、話してくれてすごく嬉しい。むしろ、こっちがありがとうね。
あなた
…ありがとう。
岩本照
岩本照
どういたしまして。…よし!家、帰ろ?
あなた
…そうだね、一緒に帰ろう。
その後、久しぶりにお父さんと手をつないで帰った。

お父さんの手は、昔と変わらず優しくて大きかった。

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