僕は兄のライブは配信で見ていた
兄の最後を僕は見ていた
悲しくはなかった
勿論兄が死んでしまうのは嫌だったがそれよりも僕は嬉しかったのだ
兄の最後のあの顔…中途半端な満たしではなく完全に満たされた幸せな顔…
あぁ…なんて綺麗だろう…
衣装も純白にしておいてよかった…
兄の綺麗な血がよく映えていた
その姿はまるで薔薇のようだった
兄が薔薇から僕は周りの棘の生えた蔓だろうか
兄という美しい花に絡まり誰にも触れさせない
それでもいい、兄の邪魔になるものは全ていらない
…あぁこんなことしている場合じゃない
まだ兄の夢は完全じゃないのだ
僕は兄と同じアイドルをしている
よく兄と一緒に仕事もした
そして兄のファンはほとんど縋るように僕のファンになった
僕はこれから兄のライブで歌わなかったあの最後の曲を歌う
“Dream”
誰かが「私達にとっては悪夢だった」と言っていたが間違ってはいないが
そしてCDの“ナイトメア“の表紙と裏紙
あれも兄さんはあぁ答えていたが実際には違う
「一見悪夢に見えても、裏返せば幸せな夢が隠されている」訳では無い
「悪夢を見ている誰かの裏で誰かが幸せな夢を見ている」のだ
そう、だから僕らにとっては本当の“夢”なのだ
そしてその夢を僕は今叶える
だから歌う
そしてその後____________
僕は兄さんの後を追うんだ…!
兄さんのようにファンの顔は見れないけれど
人々をもう一度絶望へ落とすためにはこうする他ない
マネージャーを事前に家に呼ぶ
________愛しい愛しい僕の兄さん
愛してる。愛してるんだ。
今行くよ、待っててね。
ピッ
《配信を開始しました》
『こんにちは、今日は兄が死んでから3年目です』
『兄がライブで歌えなかったこの曲を歌います』
『聞いてください“Dream”』
僕は微笑んだ
カチッ
【えー、ただいま緊急のニュースが入ってきました】
【…!?に、2年前不慮の事故で亡くなったアイドルの________さんの弟の_______さんが自宅で亡くなっているのが発見されました】
【つい2時間前に兄の_________さんの曲をカバーする生配信をしていたとの事ですが…】
【死因は自宅で首を吊っているのが見つかり、暴れた形跡も無いため自殺とみられています】
【警察からの情報によりますと見つかった_________さんの顔は笑っていて…】
【これについて_______さんのファンは………】
ブチッ
BA…………………
ザッ、ザッ、
HAPPY END












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。