21時25分。5分前だ。
カラーナはスマホで時間を確認すると、顔を上げてビル群を見上げた。
1週間前に一度訪れた闇市の入り口。
その近くにある大通りのベンチで、カラーナと水夏蕗は待ち合わせていた。
最初こそ大人しく足を組んでベンチに座っていたものの、40分になってもやってこない水夏蕗に痺れを切らして立ち上がる。
街灯に寄りかかって爪先をトントンと鳴らしていたが、遠くから駆け寄ってくる人影を見つけて深い溜息をついた。
「てかなんで座らへんの?ファッション誌の表紙か?」と何やら楽しそうにはしゃいでいる水夏蕗を一瞥すると、カラーナは眉間の皺を深めて不服そうに少し口を曲げる。
大股で歩くカラーナの隣に、水夏蕗が焦って追いかけるように並んだ。身長差のかなりある2人が並ぶと、まるで親子のように見える。
水夏蕗が一方的に話しかけ、それにカラーナが短く返す言葉の応酬を一通り終わらせた後で、水夏蕗が大袈裟に声を上げた。
少し悩んでから小さく頷くのを見て、水夏蕗が二の句を催促する。
少しズレた2つの足音が、門番の前で止まる。
水夏蕗が小さく手をあげて「ツレもおる」と言うと、門番の男は静かに工事フェンスに触れた。
ズズ…と音を立ててわずかな破れ目が波打ち広がっていく。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。