夜の路地裏は濃い暗闇が立ち込め、粘り気の強い空気が肌に纏わりつく。
カラーナは僅かに焦燥を覚えていた。
カラーナ・ヴェノメティア。25歳。
イタリアから日本へ渡航し、現在はマフィアとして日々身を擦り減らしながら活動に貢献していた。
明るい茶色の前髪をセンター分けにし、金のイヤーカフを付けている。
吊り目の中の緑色の瞳と結ばれた口角はいかにも堅実そうに見えるが、その表情にはどこか疲労が浮かんでいた。
しかし、スーツを軽く着崩した姿はマフィア然としている。
所属するファミリーのボスから聞いた噂では、どうやら最近日本で神出鬼没の密売人が商売をしているらしい。
容姿は不明。性格、ましてや性別ですら明確ではない。
上質な麻薬で気が狂った薬物中毒者達から話を聞いて得られた情報は、「長身でピアスを付けており、蛇のような目をしている」ことくらいである。
そこまで参考にする気はならなかったが、今となっては藁にも縋る思いだ。
どこをどんな風に探せば良いのか微塵も分からない。
少しでも良いから情報が欲しい。
何が何でも情報が欲しい。
路地裏を覗き、物陰だけでなく屋根に登って周囲を見渡すまでに至ったもののそれらしき影はない。
この数日、常に不確定情報しかない得体の知れないものを追いかけ続けているカラーナの体は、疲弊していた。
踵を返してアジトまでの道を急ぐ。
コツコツとアスファルトを叩く自身の踵の音を聞きながら、腰のピストルホルダーに手を添えた。
背後に誰かがいる。
ここまでの順路を辿ると、恐らくずっと尾けられていたのだろう。気が付かなかったと歯噛みする。
カラーナが背後にいる何者かにどう声を掛けたものかと逡巡している間に、背後にいた小柄な男が口を開いた。
『おじさん』という言葉にピクリと反応し、「まだ30行ってないのに…」と内心落ち込んだカラーナが顔を上げて振り向く。
関西弁の男はケラケラと笑いながら歩みを進めると、カラーナの目の前で立ち止まった。
赤色のメッシュとインナーカラーの入った白髪をピンで留めた小柄な男。
前髪を分けてはいるものの厚い前髪と影に覆われて瞳は見えない。
口調こそ穏やかな関西弁だが、薄い唇から覗く歯列は鋭く凶暴に見える。
くつくつと喉を鳴らし、肩を揺らして笑う男にカラーナの目付きが若干鋭くなる。
気を許してはならないと肌で感じたらしい。
その男…情報屋は、鋭い牙を見せてニヤリと笑った。
ド深夜に書いたので解釈違い、誤字脱字ありましたらコメントにドカドカ置いてってください…直します…












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。