翌朝。
教室に入った瞬間、
俺は妙な光景を見た。
「けちゃそれ似合うじゃん!」
ちぐがけちゃの髪を軽く整えている。
距離、近すぎだろ。
「そ、そうかな……」
けちゃは照れたみたいに笑う。
その顔を見た瞬間、
胸の奥がざらっとした。
……なんだこれ。
「まぜ、おはよ」
あっとが隣に立つ。
「顔こえーぞ」
「普通だけど」
「普通のやつはあんな睨まねぇよ」
睨んでた?
俺が?
視線を逸らそうとした瞬間、
けちゃと目が合った。
「あ、まぜち!おはよ!」
ぱっと明るくなる表情。
その一瞬で、
さっきまでのざらつきが少しだけ消える。
……単純か、俺。
「髪、切った?」
気づいたことが口から出ていた。
「えっ」
けちゃが目を丸くする。
「わ、分かるの……?」
「毎日見てるし」
言ってから、
自分で少し驚いた。
毎日見てるってなんだ。
「に、似合ってる?」
不安そうな声。
俺は迷わなかった。
「似合ってる」
その瞬間、
けちゃの耳が赤くなる。
分かりやすすぎる。
――その顔、他のやつにも見せてんのか。
胸の奥が、またざらつく。
「まぜたん!」
ちぐがひょこっと顔を出す。
「けちゃ今日かわいいよね〜」
その言葉に、
反射的に返していた。
「知ってる」
場が、一瞬止まる。
……あ。
やば。
ぷりが口角を上げる。
あっきいはにやにやしてる。
あっとは小さく笑っていた。
けちゃだけが、固まっている。
「ま、まぜち……?」
「事実言っただけ」
平然を装うけど、心臓はうるさい。
なんだこれ。
ちぐが近づくと嫌で、
笑ってると安心して、
他のやつと話してると落ち着かない。
そのくせ。
目が合うだけで、
こんなにほっとする。
……認めるしかないのか。
俺。
けちゃのこと、好きだ。
自覚した途端、
世界が少しだけ変わる。
――渡したくない。
そんな言葉が、
喉まで出かかった。
でもまだ言わない。
言えない。
だってこいつはきっと、逃げるから。
だからもう少しだけ。
気づかないふりで、
隣にいる。
おひさしぶりです((
学年末てすとでした!!(
今日で本垢の活休もここでの小説も復帰です🫵🫵
ちなみにわたくしこういうものです












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。