第62話

★ ep.61
331
2026/03/06 17:05 更新
本番前の楽屋。

わたしは鏡の前で
イヤモニをつけながら深呼吸してた。

(大丈夫)

(ちゃんとやれる)

ふと、視線を感じて顔を上げると
鏡越しに、5人全員が見てる。

💜「……え、なにかついてます?」

🩵「いや」

🩷「確認してただけ」

❤️「うん」

💛「問題なさそう」

🤍「……かわいい」

💜「!?!?!?!?」

一気に耳が熱くなる。

💜「ちょ、急にそれ言わないで……!」

🩵「言いたかったから」

🩷「今しかないやろ」

❤️「今日も頑張ってるし」

💛「評価としてね」

🤍「……事実」

💜(なに今日)

💜(ほんとにどうしたの)

そのとき、スタッフさんが入ってくる。

スタッフA「そろそろ本番です」

スタッフA「……あ、その前に」

スタッフA「ちょっとだけ、時間いいですか」

5人が一瞬、顔を見合わせる。

💛「……どうぞ」

スタッフA「今日、特別に」

スタッフA「簡単なコメント撮りをします」

スタッフA「テーマは――」

スタッフA「“一緒に頑張ってる人へ”」

💜「えっ、わたしもですか?」

スタッフA「はい」

💜「えええ……!」

🩵「まあまあ」

🩷「聞くだけや」

❤️「楽にいこ」

スタッフさんがカメラを構える。

スタッフA「では、順番に」

まず、だいちくん。

🩵「えー……」

🩵「一緒に頑張ってる人へ」

🩵「自分では気づいてないかもやけど」

🩵「ちゃんと周り見て、空気読んで」

🩵「誰よりも気使ってて」

🩵「それ、すごいことやから」

🩵「無理しすぎんなよ」

💜「……」

次、はやとくん。

🩷「俺は」

🩷「頑張ってるの、ちゃんと見てるって言いたい」

🩷「笑ってる時も、しんどい時も」

🩷「一人で抱えんでええから」

🩷「頼ってええからな」

胸が、きゅっとする。

しゅんたくん。

❤️「えーっと」

❤️「頑張ってる人ってさ」

❤️「自分が頑張ってる自覚ないこと多いんよね」

❤️「でも」

❤️「ちゃんと、価値あるから」

❤️「自信もってほしいな」

じんとくん。

💛「……」

一拍置いて、ゆっくり。

💛「泣くの、悪いことじゃない」

💛「悔しいのも、しんどいのも」

💛「全部、前に進んでる証拠」

💛「泣いてもいい場所は」

💛「ちゃんと、ここにあるから」

もう、喉の奥が熱い。

最後、じゅうたろうくん。
🤍「……」

🤍「言葉、得意じゃないけど」

🤍「そばにいる」

🤍「それだけは、変わらない」

🤍「……大丈夫」

その瞬間。

視界が滲んだ。

💜「……っ」

スタッフA「……あ」

🩵「やば」

🩷「ちょ、ちょっと」

❤️「ごめん、泣かせる気なかった」

💛「……これは」

💛「反則やね」

💜「……ちが、ちがいます……」

声が震える。

💜「これ……」

💜「泣いちゃだめなやつじゃなくて……」

ぽろっと、涙が落ちる。

💜「……泣いていいやつ、ですよね……」

一瞬、静かになって。

じんとくんが、はっきり言う。

💛「うん」

💛「これは、泣いていい」

🩵「せやな」

🩷「感動の涙や」

❤️「むしろ正解」

🤍「……きれい」

スタッフA「カメラ、止めますね」

わたしは顔を覆う。

(守られてる)

(ちゃんと、見てもらえてる)

その事実が
胸いっぱいに広がって。

涙は、止まらなかった。

でも。

誰も、焦らなかった。

誰も、困らなかった。

ただ静かに、そばにいてくれた。

M!LKが
1番守りたかったもの

——それは

「一人で泣かせない」こと。
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