俺は自分の声が嫌い。女の子なのに、低いような変な声。見た目は女の子なのに、声は低いし、男っぽい。
きっと俺は普通じゃない。女の子っぽくない。親には可愛いねって言われたりするけど、それも全部嘘に聞こえる。
この間道徳で、身近な人に『ありがとう』を伝えましょうって授業だったんだけど、それを授業参観でみんなの前で読みましょうって言われた。内心は?ってなった。なんでみんなの前で親へのありがとうを発表しなきゃいけないの?
俺のクラスの担任ってこれで3年目なんだけど、前もそういう時に「もっと大きい声で!」って怒られた。今回もそうだった。練習でみんなひとりずつ読んでいくんだけど、「これが小さいよ!まだ40%くらいだね」って言われた。は?40%って何?なんでそんなでかい声で話さなきゃいけないの?
みんなが聞いてる俺の声と、俺が聞いてる俺の声は違う。自分の声は普通、骨伝導ってので聞こえてるんだけど、みんなには俺の声がそのまま聞こえてる。だから俺が自分で聞いてる声はいい声に聞こえるんだけど、大声を出して、壁に当たって跳ね返って聞こえてくる声は普段聞いてる自分の声と違いすぎるから、変な声に聞こえる。
卒業式の練習も地獄だった。賞状を受けとるとき、「はい!」って大きい声で返事するんだけど。それをテスト返す時に順番にやってくって言われた。当然順番は回ってきた。「…はい」「うん、30%」
耳を塞ぎたい。早く逃げ出したい。この場から早く消えたい。なんで声を大きくしないといけないの?なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで
なんで、俺は普通の声じゃないの?












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。