俺はホテルの一室で、マネージャーと喧嘩をしていた
チッ……めんどくせぇ
…………クソが
絶対に俺を単独行動させたくないってことかよ
コレでダメだったら、マジモンのストーカーだろ
マネージャーは少し黙ってから
コクコクと首を縦に振る
マネージャーは約束だよ、と言って納得してくれた
ぴしりと固まったマネージャー
その隙に部屋を飛び出た
逃げろ、逃げろ
マネージャーに連れ戻される前に
案の定、後ろからドタバタと足音が聞こえた
とはいえ、俺はサッカー選手
階段を軽々2段飛ばしで降りると
1階のロビーから外に逃げた
外まででたら、マネージャーの声は聞こえなくなった
多分マネージャーは俺が考え無しに
逃げたんだと思ってるんだろうけど…
ポケットの中の紙を取り出した
【特別招集選手 日本フットボール連合】
コレは帰国の本来の目的ではない…が
くしゃりと紙を閉まう
日本フットボール連合…とやらに顔をだしてやるか
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!