傷を隠さないといけないから。
昼休み。
私はいつも、体育館裏にあるベンチでお昼を食べている。
誰も来ないし、静かで涼しい。
人目を気にせず食べられるので、お気に入りの場所だ。
突然声が聞こえて、勢いよくそちらを見ると…
赤色の髪に犬耳を付けて機嫌がよさそうに笑う男の子がいた。
オッドアイの瞳を輝かせる彼の綺麗な目に私が映っている。
そのことに、少し不快に思いながら頷いた。
初対面だから、なかなか断りにくい。
ここで一緒にお昼を食べるのは残り20分。
大丈夫、耐えられる。
犬耳をピクピクと動かして嬉しそうに隣に座る男の子。
なんか、可愛いな…。
彼は私をじっと見て何か言いたそうにしていて耐えきれずそう聞いた。
仕草の一つ一つが可愛いから…。
赤井先輩は、話しやすくて人懐っこかった。
私の一言一言に耳を傾けて笑顔で話を聞いてくれた。
何を言っても笑顔で、自然と何でも話せた。
まるで、普通の友達と話すときみたいに身軽で。
しまった、普通に楽しんでしまった。
私なんかが何かを主張する資格なんてない。
でも、彼は先輩だし三年生だし、今後一切関われないかもしれないから。
いや、違う。
私は、
赤井先輩が好きになった。















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!