前の話
一覧へ
次の話

第2話

𝑬𝑷.1 静かな宣告
7
2026/03/23 00:14 更新
曇り空の下、病院の前で私は足を止めた。
 
胸の奥が、少しだけ重い。
 
それでも、息を整えていつも通りの笑顔をつくった。
 
自動ドアが開き、冷たい空気が頬に触れた。
 
受付を済ませ、待合室へ入った。
 
待合室は静かで、時計の秒針の
音だけがやけに大きく聞こえた。
 
しばらくすると、
 
看護師
あなたの名字あなたさーん。
 
自分の名前が呼ばれ、私は少しだけ背筋を伸ばす。
 
看護師
診察室〇番へどうぞ〜
 
あなた
はーい、失礼します。
 
指定された診察室の扉を開けると、
三十代後半くらいの男性医師が顔を上げた。
 
柔らかい表情で、少しだけ
フレンドリーな雰囲気の人だ。
 
お医者さん
こんにちは。体調はどうかな?
 
あなた
こんにちはー。うーん、少し
だるいですけど、元気です!
 
自分で言っておいて、少しだけ胸が痛んだ。
 
“元気”って言葉、最近はお守りみたいに使ってる。
 
お医者さん
じゃあ、まず確認したいんだけど、
最近体調が優れなくて、処方された薬
を飲んでもあまり改善しない。
 
お医者さん
それで前回、血液検査をした、
ということで合ってるか?
 
あなた
はい。
 
お医者さん
分かった。じゃあ、検査結果を
探して来るから、少し待ってて。
 
お医者さんは、そう言って机の上の書類を探し始める。
 
一枚、また一枚と紙をめくる音が、
なぜか落ち着かなかった。
 
お医者さん
......あれ、どこだっけ?
 
少しだけ探して、ようやく目的の紙を見つける。
 
お医者さん
さてと......
 
椅子に座り直し、視線を検査結果に落とした瞬間───
 
先生の表情が、ほんの一瞬だけ変わった。
 
笑顔でもなく、困った顔でもない。
 
ただ、空気が静かに張りつめたような、そんな顔。
 
あなた
……
 
胸の奥が、理由もなくざわついた。
 
お医者さん
あなたの名字さん。今から言うことに、
落ち着いて聞いてほしい
 
あなた
あ、はい…
 
その声は、さっきまでより少し
低くて、少しだけ慎重だった。
 
私は小さく息を吸い、無意識に膝の上で手を握る。
 
先生は一度だけ視線を紙から外し、
私を見てから、ゆっくりと言った。
お医者さん
検査結果だけど────











































お医者さん
君は、慢性骨髄性白血病まんせいこつずいせいはっけつびょう
を患っているようだ。
あなた
......えっ、?
 
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
 
ただ一つだけ確かだった。




























私の"普通"は、もう戻らない。
 
 
 
NEXT >>>> 👀5&♡1
修正 : 2026/3/21 , 13:30

プリ小説オーディオドラマ