練馬区・住宅地外れ。
人気のない路地が、戦場から少しだけ離れた場所。
崩れた塀の影。
そこに――あなたの名字は、一人で立っていた。
通信機は、切っている。
仲間の気配も、ない。
指先を、軽く噛む。
にじんだ血が、ぽたりと地面に落ちる。
――紅空律界、展開。
血は広げない。
あくまで、“最低限”。
桃太郎隊員A:
「……いたぞ」
路地の入口に、影が三つ。
桃太郎隊員B:
「一人だな」
桃太郎隊員C:
「援護なし。
……本当に、孤立してる?」
あなたの名字は、わざと振り返る。
一瞬だけ、目を見開く。
演技として、完璧な“驚き”。
桃太郎A:
「やっぱりだ」
桃太郎B:
「あなた。
単独行動は悪手だぞ」
あなたの名字は、逃げない。
でも、前にも出ない。
桃太郎たちが、微かに反応する。
沈黙。
桃太郎C:
「……」
桃太郎A:
「関係ない」
剣先が、向けられる。
桃太郎A:
「お前を落とせば、十分だ」
あなたの名字は、少しだけ肩を落とす。
次の瞬間。
あなたの名字が、後ろに跳ぶ。
――血が、**“あるはずのない位置”**に弾ける。
桃太郎B:
「っ!?」
足元。
踏み込んだ地面が、わずかに歪む。
桃太郎C:
「罠――!?」
あなたの名字は、路地の中央に立つ。
血が、点と点を結ぶ。
床ではない。
壁でもない。
“動線”そのもの。
桃太郎A:
「……っ!」
あなたの名字は、静かに目を細める。
血が、空間に沈む。
――神庭、発動。
音が、消える。
桃太郎B:
「な、にが……!」
動こうとした瞬間。
“動こうとした”という兆しが、空間に読まれる。
足が止まる。
息が詰まる。
桃太郎C:
「身体が……!」
血の線が、ふっと消える。
次の瞬間――
桃太郎三名、地面に崩れ落ちる。
生きているが、完全に行動不能。
あなたの名字は、ゆっくり息を吐く。
通信機のスイッチを、入れる。
すぐ返事
あなたの名字は、倒れた桃太郎たちを一瞥する。
少しだけ、間
通信が切れる。
あなたの名字は、血を拭って歩き出す。
小さく笑う
遠くで、別の戦闘音。
罠は、まだ続いている。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。