第3話

265
2025/07/03 10:00 更新
ほとんど勘で歩いてきたが、霊夢は自分の宿泊場所と思わしき場所に到達する。



「へぇ〜、こんなかんじなのね。」



霊夢の目に映るのは、こじんまりとしたごく普通の和風の家。

大人数で住むには少々狭いかもしれないが、霊夢に一人とっては広すぎるほどの大きさだ。


最も、博麗神社の方が大きいのは確かだが。



「外の世界の建物っていったら、キラキラしている四角いものだと思っていたわ」



初めて外の世界に行った時の光景を思い出す。









あれは、都市伝説異変の真っ最中だった。

やたらと煩く、星空のように綺麗で、異世界を彷彿とさせる場所。

しかし、その光景とは対照的にここら一帯は、幻想郷となんら変わらない、ごく普通の田舎町だ。



でも、この方がいい。住み慣れない都よりも、古くても快適な田舎の方が何倍もいい。



それは何処でも同じである。

















そして霊夢は家の中に入る。


人里の民家とほどんど変わらない作り。



強いてあげるとするのなら、見慣れない家具が多いことだろう。それ以外はごく普通の民家だ。






中には基本的な生活用品のほか、箪笥には制服と外の世界と思わしき見慣れぬ服が入っている。




目を凝らすと、一枚の小さな和紙が挟まっており、「巫女服は目立つからなるべく着るな。」

白色の制服には「学校に行くときはこれを使え」と書かれていた。





「私を何歳だと思ってんのよこいつは…」

やたら達筆な文字を目を細めて一瞥すると、箪笥の上に何かがある。


手を伸ばしてみるが、霊夢の身長では届きそうにない。


仕方がないよねと少しだけ宙に浮くと、小さめな巾着袋がちょこんと乗っかっている。




少々乱暴に袋をこじ開けると、神社に置いてきたはずの封魔針、お札、お祓い棒などの妖怪退治グッズの数々…。


それと、束になっている紙幣だ。幻想郷で見る物と柄が違う。



が、作りは同じであるため、使えるのは確かだろう。


















            ぐぅぅぅぅ…



















腹の虫は暖かい食事をご所望のようだ。

ハッとして外を見ると、もう日が落ちかけている。


秋だからだろうか、微かに虫の声も聞こえる。




幻想郷となんら変わらない。



だが、あの魔法使いに何も伝えずにこんなところまで来てしまったことだけが気がかりだ。









感傷に浸っていると、何やら香ばしい匂いがする。



匂いの元へ誘われるように進むと、そこには覚えのない味噌汁と鮭の塩焼き。



後は漬物とお茶。






湯気が立っているので、誰かが用意してくれたのだろう。

何はともあれ、ラッキーだ。








とりあえず、片っ端から前菜、主菜、副菜と食べ進め、最後にはぐいっとお茶で流し込んだ。


茨歌仙が居たら、はしたない食べ方だと説教されるだろうなと思いつつ、

その日は、気絶するように眠りに落ちた。










プリ小説オーディオドラマ