第2話

背中とそよ風と
211
2019/05/13 08:21

歯磨きも終わり、そろそろ家を出ようとしていると携帯が震える。

あ、坂田からメッセージきてる。
坂田 優
坂田 優
もうすぐ着く!!!
坂田 優
坂田 優
準備出来てる?
日向
うん!!ばっちり🌸
坂田 優
坂田 優
良かった〜〜〜〜〜〜
坂田 優
坂田 優
この前みたいに遅刻かと

……失礼なやつだな〜、もう遅刻しないし!

また坂田に何か言われそうなのでブレザーを着て、リュックを背負う。


「お兄ちゃんいってきます!」

「いってらっしゃい〜」
ドアを開けると自転車に乗っている坂田の姿。


「おはよ」

「おはよう!」

「ん、後ろ乗って?」


坂田にしっかりくっつくと、自転車は動き出す。
大きい背中だなあ…いつの間にこんなに大きくなっちゃったんだ…

私たちは毎朝こうして登校している。
街の人はまたか、というように手を振ってくれる。手を振り返せば笑顔で微笑んでくれた。


「あなた、ほんま朝弱いよな」

「や、でも今日ははやく起きれた方!」

「まあ遅刻は免れそうやな」

「また遅刻の話する!!」


坂田はいーっつも同じ話でいじる。
そんな坂田にぶすくれていると、満足そうに笑ってくる坂田。


「ムカつくわぁ」

「ははっ、どんまいどんまい」

そんなくだらないことをしていると校門が見えてきた。
ああ、今日もまた先生たちのながーい話が始まるのか…、憂鬱な気持ちでため息をつく。


「サボりたいな〜……」

「あ、いつからそんな不良少女になってしまったんや!」


ママは悲しいですぅ、なんてボケてくる坂田に思わず吹き出してしまった。


「ふふ、だってつるぴか先生の授業だるくない?」

「まあ間違いない」


学校に着く前いつもこの会話をしている気がする。はあ、憂鬱だな〜…

まあ、そんなわけで今日もまた変わらないわたしの日常が始まる。

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