歯磨きも終わり、そろそろ家を出ようとしていると携帯が震える。
あ、坂田からメッセージきてる。
……失礼なやつだな〜、もう遅刻しないし!
また坂田に何か言われそうなのでブレザーを着て、リュックを背負う。
「お兄ちゃんいってきます!」
「いってらっしゃい〜」
ドアを開けると自転車に乗っている坂田の姿。
「おはよ」
「おはよう!」
「ん、後ろ乗って?」
坂田にしっかりくっつくと、自転車は動き出す。
大きい背中だなあ…いつの間にこんなに大きくなっちゃったんだ…
私たちは毎朝こうして登校している。
街の人はまたか、というように手を振ってくれる。手を振り返せば笑顔で微笑んでくれた。
「あなた、ほんま朝弱いよな」
「や、でも今日ははやく起きれた方!」
「まあ遅刻は免れそうやな」
「また遅刻の話する!!」
坂田はいーっつも同じ話でいじる。
そんな坂田にぶすくれていると、満足そうに笑ってくる坂田。
「ムカつくわぁ」
「ははっ、どんまいどんまい」
そんなくだらないことをしていると校門が見えてきた。
ああ、今日もまた先生たちのながーい話が始まるのか…、憂鬱な気持ちでため息をつく。
「サボりたいな〜……」
「あ、いつからそんな不良少女になってしまったんや!」
ママは悲しいですぅ、なんてボケてくる坂田に思わず吹き出してしまった。
「ふふ、だってつるぴか先生の授業だるくない?」
「まあ間違いない」
学校に着く前いつもこの会話をしている気がする。はあ、憂鬱だな〜…
まあ、そんなわけで今日もまた変わらないわたしの日常が始まる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。