第8話

第一章 第8話「初めてのお出かけ」
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2026/07/03 08:49 更新
翌朝。





あなたはいつもより少し早く目を覚ました。





カーテンを開ける。





柔らかな朝日が部屋を照らした。





「今日はいい天気。」





思わず笑みがこぼれる。





コンコン。





「姫様、おはようございます。」





シオンだった。





「おはよう。」





あなたは少し迷ってから口を開く。





「あのね。」





「お願いがあるの。」





シオンは静かに耳を傾ける。





「今日は……。」





「庭園を歩いてみたい。」





「みんなと。」





その一言に。





シオンは少し驚く。





医師から聞いていた。





あなたは長時間歩くことができない。





少し無理をすれば。





すぐに体調を崩してしまう。





「お医者様に確認いたします。」





「うん!」





しばらくして。





医師から許可が下りた。





「30分だけなら。」





「決して無理はしないこと。」





あなたは子どものように喜んだ。





「やった!」





「ありがとう!」





王城の庭園。





色鮮やかな花々。





噴水の音。





あなたはゆっくり歩いていた。





「外ってこんなに気持ちいいんだ。」





「毎日部屋から見てた景色なのに。」





「全然違う。」





その笑顔を見て。





6人は自然と足を緩めた。





「リョウ!」





「見て!」





「黄色いお花!」





リョウは近づく。





「……綺麗。」





「だよね!」





「リョウみたい!」





「……。」





「それ褒めてる?」





あなたは笑う。





「もちろん!」





その様子に。





リクが小さく吹き出した。





「ははっ。」





「リョウ、花と一緒にされてる。」





「うるさい。」





珍しく言い返すリョウ。





あなたはまた笑った。





サクヤは花壇の前で足を止める。





「姫様。」





「この白い花、可愛いですね。」





「ね!」





「サクヤも可愛いもの好きなんだよね!」





「はい。」





二人は花を見ながら笑い合う。





少し離れた場所で。





シオンが静かに見守っていた。





その時。





「ごほっ……。」





あなたが咳き込む。





一歩。





また一歩。





足元がふらつく。





「姫様!」





ジェヒがすぐに支える。





「大丈夫ですか?」





あなたは苦しそうに笑う。





「ごめんね。」





「ちょっと嬉しくて……。」





「はしゃぎすぎちゃった。」





医師も駆け寄る。





「今日はここまでです。」





「部屋へ戻りましょう。」





あなたは少し残念そうに頷いた。





「……うん。」





部屋へ戻る途中。





あなたは振り返る。





「ありがとう。」





「今日ね。」





「人生で一番楽しかった。」





「また一緒に歩こうね。」





その一言に。





誰も返事ができなかった。





「また。」





その言葉が。





胸に重く響く。





(365日後。)





(俺たちは。)





(この人を……。)





誰も続きを考えたくなかった。





その夜。





シオンは任務報告書を書いていた。





『ターゲットとの距離、順調に縮まっている。』





ペンが止まる。





そして小さく息をつく。





「……順調、か。」





その言葉には。





初めて迷いが滲んでいた。



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