翌朝。
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あなたはいつもより少し早く目を覚ました。
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カーテンを開ける。
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柔らかな朝日が部屋を照らした。
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「今日はいい天気。」
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思わず笑みがこぼれる。
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コンコン。
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「姫様、おはようございます。」
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シオンだった。
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「おはよう。」
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あなたは少し迷ってから口を開く。
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「あのね。」
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「お願いがあるの。」
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シオンは静かに耳を傾ける。
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「今日は……。」
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「庭園を歩いてみたい。」
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「みんなと。」
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その一言に。
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シオンは少し驚く。
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医師から聞いていた。
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あなたは長時間歩くことができない。
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少し無理をすれば。
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すぐに体調を崩してしまう。
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「お医者様に確認いたします。」
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「うん!」
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しばらくして。
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医師から許可が下りた。
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「30分だけなら。」
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「決して無理はしないこと。」
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あなたは子どものように喜んだ。
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「やった!」
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「ありがとう!」
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王城の庭園。
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色鮮やかな花々。
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噴水の音。
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あなたはゆっくり歩いていた。
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「外ってこんなに気持ちいいんだ。」
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「毎日部屋から見てた景色なのに。」
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「全然違う。」
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その笑顔を見て。
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6人は自然と足を緩めた。
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「リョウ!」
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「見て!」
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「黄色いお花!」
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リョウは近づく。
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「……綺麗。」
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「だよね!」
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「リョウみたい!」
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「……。」
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「それ褒めてる?」
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あなたは笑う。
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「もちろん!」
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その様子に。
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リクが小さく吹き出した。
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「ははっ。」
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「リョウ、花と一緒にされてる。」
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「うるさい。」
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珍しく言い返すリョウ。
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あなたはまた笑った。
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サクヤは花壇の前で足を止める。
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「姫様。」
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「この白い花、可愛いですね。」
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「ね!」
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「サクヤも可愛いもの好きなんだよね!」
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「はい。」
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二人は花を見ながら笑い合う。
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少し離れた場所で。
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シオンが静かに見守っていた。
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その時。
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「ごほっ……。」
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あなたが咳き込む。
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一歩。
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また一歩。
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足元がふらつく。
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「姫様!」
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ジェヒがすぐに支える。
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「大丈夫ですか?」
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あなたは苦しそうに笑う。
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「ごめんね。」
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「ちょっと嬉しくて……。」
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「はしゃぎすぎちゃった。」
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医師も駆け寄る。
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「今日はここまでです。」
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「部屋へ戻りましょう。」
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あなたは少し残念そうに頷いた。
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「……うん。」
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部屋へ戻る途中。
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あなたは振り返る。
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「ありがとう。」
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「今日ね。」
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「人生で一番楽しかった。」
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「また一緒に歩こうね。」
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その一言に。
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誰も返事ができなかった。
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「また。」
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その言葉が。
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胸に重く響く。
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(365日後。)
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(俺たちは。)
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(この人を……。)
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誰も続きを考えたくなかった。
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その夜。
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シオンは任務報告書を書いていた。
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『ターゲットとの距離、順調に縮まっている。』
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ペンが止まる。
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そして小さく息をつく。
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「……順調、か。」
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その言葉には。
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初めて迷いが滲んでいた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!