翌日
そう言った彼は直ぐに顔を逸らしてしまった 。
朝は機嫌が良くないのかな 、とも思ったが
あれだけ朝通話したのにそれは有り得ない 。
歪な形ではあるが 、ちゃんと美味しかった 。
ローレンの様子は朝とは変わらずに 、
やはり何時もよりも口数が少なかった 。
なんとか考えてみたけど 、思い当たる節は
何一つ無かった 。
確かにローレンは口は悪いが 、
今のように冷たく言い放った事は一度も無かった 。
淡々と話すその姿がなんだか遠い人の様に見えた 。
今までこのような対応をされたことが無かった為 、
なんだか酷く傷付いた様な気がした 。
今彼はどんな顔をしているのだろう 。
怖くて 、見る事が出来なかった 。
ここで彼の顔を見る事で自分が傷付くのが怖かった 。
きちんと荷物もまとめずに家を出た 。
自分が焦っている事が足音で分かる 。
悲しかった 、苦しかった 。
今まであんな態度は取られたこと無かったから
尚更 。
周りの足音も重なって 、
全てが五月蝿く聞こえた 。
前を歩いている女の子の足音も 、
コンビニから一服する為に出てきた男子大学生の
足音も 、全てが私の足音となって追い詰める 。
そんな時 、後ろで私と同じくらいの足音が
聞こえた 。
今の私にはどんな足音でも大きく聞こえるせいで 、
後ろの人の足音まで更に大きく聞こえる 。
嫌になりながらも歩き続けると 、
不意に手を引かれた 。
驚いたのは突然手を引かれたからでは無い 。
ローレン
手を引いた相手が彼だったから 。
そのままローレンにされるがままに連れて行かれた 。
ローレンの手は 、細くてしなやかで 、
でも大きい 。
息が切れていることが分かる 。
それと共に 、耳が紅くなっている事も分かった 。
昼間 。
賑わう声の中 、私の声だけが脳裏に響き渡った 。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!