第2話

1話
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2019/05/06 11:13
「おはよー!」

後ろから元気よく挨拶される。

私は振り返って、その人に言った。

「……おはよ、せいくん」

ニコニコと笑っている彼は、隣のクラスの星くん。部活が一緒で、彼氏ができる前はよく一緒に帰っていた。

星くんは隣に並んできて、不思議そうな顔をした。

「どうしたの?元気なくない?」

「……別に、そんなことないよ」

「そう?あ、そういえばもう大丈夫なの?昨日忘れ物取りに行くって部活抜けたあと、体調悪くなって帰ったって聞いたけど」

刹那、昨日の光景が脳裏に蘇る。

達也たつや先輩と、ユキちゃんが、キスを――

「大丈夫。ありがと」

ニコッと笑いかけて、星くんより一足先に校舎へ入る。

下駄箱から上履きを出して履き替えていると、私の背後で同じように靴を履き替える星くんが喋りかけてきた。

「今日さー、英単語の小テストあるじゃん?僕あれ全然覚えてなくてさ」

「あー、それダメなやつだ。ちゃんと勉強しないと、放課後補習だよ?」

「そうなんだけどー!!うう、あなたちゃんも一緒に補習しようよ!」

「嫌でーす。部活に遅れるもん」

「一緒に遅れれば怖くないよ!!」

「二人とも遅れないのが一番いいんだよ」

そんな風に軽口を叩きながら、星くんと教室に向かっていく。

楽しいな。星くんとはいつも、何も考えずに喋れる。


別の話題で笑い合った後、私のクラスの近くに私たちは立っていた。

じゃあまた、と言おうとすると、星くんが口を開く。

「ねぇ、あなたちゃん」

「ん?」

星くんの顔が、私の耳に近付く。

「好きだよ」

愛おしさが詰まった、甘い告白。

「……ごめんね」

私は、何度目か分からない返事をして、教室に入った。

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