下校時間、1人で靴箱に向かってた。
もちろん
忘れるわけない。
会いたくて、感謝を伝えたくて仕方なかった。
必死に声を出す。
だけど、声は一言も出ない。
どうして、
伝えたいのに。
ありがとうの一言くらい、言わせてよ。
気づけば、泣いていた。
会った嬉しさと、声が出ない自分の醜さが混ざって。
だけど、涙はいうことを聞かなくて、どんどん流れる。
聞いて、欲しい。
そんな私の意思が伝わったのか、ただ心配して気を使わせたのか、出久くんは私の手を引いて学校をでて、狭い公園にきた。
私はスマホのメモアプリを開いた。
.........ついに、言うんだ。
どんな反応をされてもいい。
「事故にあってから、原因はよく分からないけど声が出ない」
「声をかけてくれて、名前を呼んでくれて、すっごく嬉しかった」
「ありがとう」
私は、笑顔でスマホの画面を見せた。
やっと言えた。
これが、ずっと言いたかったこと。
「ほんとに?!いいの?」
「私、教える!」
出久くんは、そう言って柔らかく笑った。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。