第8話

16日目 夜明け。
10
2025/11/12 13:15 更新

柚を抱えてとりあえず家に帰る。
彼がパニックになったのは誘拐した初日以来だった。それは彼の心が強かったわけでもなく、今日まで耐えていただけなのだろう。
柚…

最初は泣き喚いて暴れていた柚だが、今は俺の腕の中にすっぽりと収まり、カタカタとわずかに震えていた。
離れ、、て
やだ、
そういう割に、柚は俺の服の袖を掴んでいた。本人は無意識だろう。
(拒絶するようなことを言っているが、本心は誰かにそばにいてほしいんだろうな…)
や、だぁ…
ひっく、、、ゔぅ、、っ
いい子だから深呼吸してごらん?
グスッグスッ、、
大丈夫だよ
ゆっくりでいいから
少年
うぅ…フーッフーーッ
ちょっと落ち着いた?
ん…
…柚さ
さっき「僕を捨てたくせに」って言ったよね
俺が勝手に家を出たから不安にさせたんだよな
ごめん…
でも、柚のことがどうでもよくなったわけじゃない
本当に大切に思ってるよ
しばらく沈黙が続き、やがて柚が話し始めた。
…僕ね
お兄ちゃんが何でそんなに僕を好きでいてくれるのかわかんない、、
いいとこなんて何もないし
いっぱい「悪い子」って言われてきたから、、
だから、やっぱりお兄ちゃんも僕のこと嫌になったんだって思って
衝動的に出て行っちゃった…
ごめんなさい…
謝らなくていいんだ
……
…柚は知らないと思うけれど、君のことを好きになったのはずっと前なんだよ
え…?
ずーっと片思い拗らせて
拗らせすぎた結果、誘拐して成功しちゃうんだもん
もう諦めらんないじゃん
だからね、柚を嫌いになる日なんてこないわけ
…ほんとに?
まだ信じてくれなくてもいいよ
それでも、俺が一番大切なのは柚だってこと知っててほしい
変な人、、
今それ言うか!?
ふふっ






















もう俺には柚しかいなくて、柚には俺しかいない。
こんなに一途な愛って他にないだろ?



だから、ずっとそばにいてね


ん?なんて言った?
いや、なんでもない
体が冷えただろ?お風呂入ろ
うん!

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