創造神達の会議が終わり、次々と創造神が退出していく中…二人の創造神が会議室に残っていた。
刹那さんがそう言い安堵する姿は、親として娘の身を案ずる優しい姿だった。
私も聞きたかったことがあったので、様子を見計らって口を開いた。
私は二つ返事をして頷くと刹那さんは微笑み、お辞儀をして会議室から去って行った。
───現在
お父様が現役の創造神の頃は、周りを気にする余裕が無いほど情緒不安定だったから…私を気にするということは、心に余裕が出来た証拠だろう。
そのうち会いに行こう、と私は心に留めた。
理奈様が大ホールを見渡したので私も見渡すと、いつの間にか皆の視線が此方に向いていた。
やがて俯き考え事をしていた結実ちゃんが、ゆっくりと挙手した。
創造神の中には考え無しに行動する戦闘狂のような神もいたような気がするが、どうやら見た目通りの考え無しでは無いらしい。
まぁ…そうでもなきゃ、仮にも世界全体を治める事なんて出来ないのか。
まぁ確かに先生が死ぬようなことはあったとしても、理奈様が死ぬようなことはほぼゼロに等しい。
何故なら理奈様は一度死んで世代交代していて、わざわざ殺す必要は全く無いから。仮に殺されたとしても、元創造神というだけで、直ぐに生き返られる…というのを前に聞いた事がある。
そこまで質問に答えていた理奈様が、突然険しい面持ちになった。
床を見ながら考え込む理奈様は真剣そのもので、緊張感がひしひしと伝わってきた。
理奈様は私達の様子を見てそう促したので、私達全員が手を下ろした。
俯いたり、視線をズラしている子もいるから話を聞いてないのかと思いきや、全然そんな事は無いらしい。
理奈様は頭を抱え俯き、その表情は読み取れなかった。
しかし、何処か酷く苦しそうだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!