荒野に立つレックスは、自郡の最後尾から戦況を見守っていた。
崩れた建物や瓦礫の上に立ち、仲間の動きを確認しながら、骨の弾幕を駆使して敵を迎え撃つ。
パピルスも前線でアンダインと共に奮闘していた。
大剣のように長い骨を振るい、青い骨を飛ばし敵を足止めし、味方を守る。
しかし、敵の猛攻は容赦なく、押され始めてしまう。
敵の攻撃で吹き飛ばされた味方の兵士に気を取られたパピルスは、致命傷を受けてしまった。
その声は、戦場の喧騒にかき消されそうなほど小さかった。
それでも、確かに届いた。
次の瞬間、パピルスの体が崩れ、灰となって地面に舞い落ちた。
それはあまりにもあっけなく、残酷だった。
駆け寄ったアンダインの前で、灰は風に舞いながら、ゆっくりと消えていく。
それが、最後の言葉だった。
アンダインは、拳を強く握りしめたまま立ち尽くす。
叫びは、喉の奥で押し殺した。
目の前で自分の部下がやられたことに胸を痛めつつも、アンダインは立ち上がり槍を振るう。
その瞳には揺るがぬケツイが宿っていた。
1人の兵士がレックスに報告しにきた。
レックスは何も言わずただ前を見ていた…
そのとき、砂埃の奥からフリスカが現れた。
いや......完全に“キャラ”と化した存在が。
瞳は燃えるように赤く光り、握る剣も赤黒く染まっている。
荒野の夜風に揺れる髪が、その異様な存在感を際立たせていた。
キャラはレックスを見据えると、
落雷のような速さで黒煙の中を突進してくる。
レックスは即座に判断し、骨の弾幕で応戦する。
だがキャラはそれらをすべて掻い潜り、一直線に迫ってきた。
レックスの片目が青く光り、
その頭上に大量のガスターブラスターが出現する。
咆哮のような音と共に、青白い光線が放たれ、大地を削り、爆発音が戦場に響き渡った。
集中砲火ーー確実に捉えたはずだった。
しかし、そこにキャラの姿はなかった。
見上げた先。
赤い光に包まれたキャラが空中で体をひねり、こちらを見下ろしていた。
不気味な笑顔。
次の瞬間、雷鳴のような風切り音と共に、剣が振るわれる。
レックスは覚悟を決め、目を閉じた。
剣が振り下ろされる。
逃げ場はない。
それは、レックス自身が一番理解していた。
――終わりか。
そう思った、その刹那。
「――王様ッ!!」
鋭い声が、空気を切り裂いた。
次の瞬間、
レックスの視界を、青い影が覆った。
ザン...ッ!
重く、乾いた音。
衝撃が走り、砂埃が舞い上がる。
だが...痛みは、来なかった。
ゆっくりと目を開けたレックスの前に立っていたのは、
槍を構えた一人の戦士。
アンダインだった。
彼女の装甲には、深く刻まれた斬撃の痕。
その一部が、静かに灰へと変わり始めている。
それでも、アンダインは倒れなかった。
歯を食いしばり、
それでも一歩も退かず、キャラを睨みつける。
声は荒い。
だが、そこに迷いは一切なかった。
その背中は、あまりにも大きく見えた。
守られる側であるはずの王が、
部下の背中を見上げているという現実。
レックスは、拳を強く握りしめた。
悔しさと、怒りと、
それでも確かにそこにある信頼。
アンダインは、一歩前に出る。
灰が舞い、装甲が崩れかけても、
彼女の槍先は、微動だにしない。
そして、低く、力強く言い放った。
槍を突き立て、真正面からキャラを見据える。
戦場が、静まり返る。
その瞬間、
アンダインの体を、静かな光が包み込んだ。
その言葉と同時に、
アンダインの体を、静かな光が包み込んだ。
爆発的でも、眩いわけでもない。
だが...確かに、何かが変わった。
砕けかけていた装甲は影を纏うように再構成され、
彼女の身を覆う黒き装備へと変化していく。
それはまるで、
幾多の戦を越えて語り継がれる
伝説の勇者が、今この場に現れたかのようだった。
周囲の空気が、重く沈む。
誰もが息を呑み、
キャラでさえ、一瞬だけ動きを止める。
アンダインは、ゆっくりと槍を構えた。
揺るがない。
恐れも、迷いも、そこにはない。
そして、落ち着き払った声で言い放つ。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!