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第1話

お迎え
219
2024/10/03 13:54 更新












ここは#コンパスのゲームのホーム画面にある謎の空間。決して何も無い訳ではないが、ソファやテレビ、長めのテーブル、キッチンなどのある程度快適に過ごせるような物があったり、別室に行けば練習場などのトレーニング設備もある。空調も程良い加減に設定されていて、プレイヤーも、ヒーローも快適で居心地良い空間になっているのだ。

私は#コンパス【戦闘摂理解析システム】のプレイヤーのあなたの名前。
主にタンク使いでアタッカーやガンナー、スプリンターとは無縁なままランクS1に昇格した者だ。

しかし、こんな私にもスランプ的な…いつものタンクのヒーローを使っても勝てない事や役に立てない事が増えてきたので、ここは思い切ってタンク以外のロールのヒーローを使ってみる事を決意したのだ。
あなた
はぁ……。
しかし、思いがまだ確立しない。いつも使っているタンクのヒーローと初めて会った時に「これだ!」とビビッと来たヒーローでは無いと使えない気がするのだ。

気分転換にヒーローガチャ…新しくヒーローをお迎えする儀式をしようと、貯めていたヒーローチケットを手に取る。私が一途で「この人じゃないとやっていけない」と言う衝動に駆られていた時に自然に貯まった物で、今となっては5枚以上ある。
あなた
さて…どんな子が来るかな~~♪
そういや今、新ヒーローが実装されてそのヒーローのファンが増えているらしい。話してみたい気もするが、何十人のヒーローと様々なコスチュームを来たヒーローがたくさんいる為すぐには会えないだろうと分かりやすく肩を落とす。

そして儀式を終えてヒーローチケットを手に持ち、目を瞑り手を合わせる。しばらくして目を開けると、いつの間にか出現していた緑色のデータが組み合わされた様な謎の球体が目の前に現れていて、ヒーローチケットがなくなっていた。

腕を伸ばし、謎の緑色の球体に指先を触れさせてみる。最初は戸惑って怖かったが、今となってはもう慣れた行動だ。するとバッ!と謎の緑色の球体が光り、塵となり上に昇って消えていく。あまりにも眩しくて、つい目を瞑ってしまう。

眩しさが消え、少し経ってから光った場所を見てみる。
コラプス
初めまして、僕はコラプス。君たちの敵だ。
あなた
こりゃまたキャラの濃い人が来たなぁ
元々このゲームにはキャラが濃いヒーローが多い。エルフの生き残りのお姉さんや、男のコと自称する吸血鬼の王、司令官一筋な半人半猫みたいな女性、優等生だが仲間の一人を傷つけると覚醒する魔法少女がいたりする。

このヒーローは人類の敵を名乗るのかぁ、可愛いなぁ、と考えながらコラプスと名乗るヒーローを見詰める。私より身長が低いから、少し目線に下に落として微笑みながら述べる。そしてコラプスも私と目線を合わせて表情は変わらないが微かに眉を顰めながら述べる。
コラプス
……おい。
あなた
ん?何?どーかしました、?
コラプス
人間のくせに僕を見下さないでくれる?
あなた
えぇ…んじゃこう?
その場に座り込み、下からコラプスを見上げて述べる。そしてコラプスは何も言わず最初の表情に戻り、初めての空間だからか周りを見回している。

にしてもしょっぱら身長で叱られるのは流石に驚いたけど。顔に出てないよね?と思いながらコラプスを見つめ
る。この後も沈黙が続く。

そして、最初に沈黙を破ったのはコラプスだった。
コラプス
君、名前は何?
あなた
え…と、、
正直、とても驚いた。さっきまで身長を気にして「見下ろすな」と最初から敵視しているような言ったばかりなのにあちらから名前を聞かれた事。まさか私に興味が!!?
コラプス
あ、勘違いしないで。この子…アネモネさんに言われたから聞いただけ。僕は君に興味が無いから。
アネモネ
アネモ〜!!
全然無かった。ツンデレの様に目を逸らしたり頬を赤らめられたりもせず、真っ直ぐ私を見詰め軽く睨みつけられているような視線が刺さり、1mmも興味が無い事がひしひしと伝わってくる。

アネモネさんと呼ばれた宙に浮くうさぎ耳が生えたスライムみたいな生物が笑顔で頷き、コラプスの周りをふよふよと浮き、回る。
あなた
そっか〜!!よろしくね、アネモネちゃん!
アネモネ
ア〜ネモ〜ネ!!!
アネモネちゃんは私に近づき、嬉しそうに上下に浮いては私の肩の上に乗る。少し懐いたのだろうか、とても可愛い。
コラプス
ふふっ…
何か笑った!!?と思ってコラプスに視線を移すとずっと無表情だったのに頬を緩ませ軽く笑っている。その視線の先は…アネモネちゃんらしい。コラプスはアネモネちゃんが大切な人?者?生物?なのだろう。
あなた
ふぐっ……
可愛い。これに尽きる。今にも鼻血を噴き出してぶっ倒れてしまっても仕方ないぐらいに破壊力があり、とても可愛い(二回目)。

その時、何かビビッと身体に電流が走ったかの様な感覚に一瞬襲われた。この感覚、初めて相性が良さそうなタンクのヒーローと会った時にもあった。という事は…天がこのヒーローとバトルをしよう!と言っているのか!!
あなた
そうと決まれば…!
私は改めてコラプスの方を向き、見つめる。紫色で中に黒く塗り潰されたキラキラの瞳は何処か寂しそうに感じたのだ。そうして見詰めているとコラプスも私の方を見詰めて来た。

そして私は大きく息を吸いコラプスに近づき、勢い良く言った。
あなた
初めまして。私はあなたの名前、よろしく頼もうコラプスぅぅぅぅ!!!
コラプス
うるさい、近づくな離れろ。









あなた
所で、さっきの笑顔って…?
コラプス
さっきの笑顔?何それ。意味分かんない、話しかけないでくれるかな。
あなた
し、辛辣ぅ…
…まだ、コラプスを攻略しきるのには全然早いようです。








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