このお話は#9です今回は「その出来事が起きた次の日」を描いていますそれでは さっそく本編へ行ってみよう~【3階廊下】
その日の朝の空気は いつもより少し重かった
理由なんかわからない
でも どこか____重たい空気が流れていたと思う
その日の廊下は どこか不気味さがあるような静けさで
毎朝定番だった放送も流れてこない
私は廊下から クロくんの部屋の前で大きな声を出す
いつもなら すぐに反応があるのに今日は何も聞こえてこない
部屋の中を見ようと ドアノブを回し中に入ったが____
そこには もぬけの殻となっていて部屋はどこか散らかっていた
いつもなら 看護師さんや施設員さんが散策していて
朝の挨拶を交わすことが軽い日課
しかし 今日は何もない
こうして あたしは食堂へ向かうことにしたのだった_____
【2階 西館】食堂前
あたしは1人で食堂に向かっていた
メルちゃんが 元気な挨拶してくれる
メルちゃんは歳が同じということもあって すぐに仲良くなった女の子
しばらく雑談をしていたら
食堂に入ってきたクロくんと紀子ちゃんを見かけ
あたしはメルちゃんにバイバイをして クロくんと紀子ちゃんに話しかけに行く
いつもすぐに返してくれるのに 今日は反応がない
すると____
クロくんは あたしの挨拶に一歩遅れて挨拶を返してくれる
だけど___紀子ちゃんの様子がおかしい
その間がとてつもなく長い
朝食を受け取った紀子ちゃんは 無言でパンをちぎって食べ進めている
いつもこんなことはないはずなのに
斜め前には メルちゃんが座っていて
その少し離れた席にルカくんが スプーンを持ったまま固まっていた
あたしがルカくんに声をかけると
ビクッと肩を揺らし
ルカくんは どこか苦笑いをして
再び食事を食べ進めていた
窓がある席には ヴィクターくんがどこか黄昏れていた
その姿は 窓を見つめているけど
視線が定まっていなかった
あたしは無事に朝ご飯を済ませ 食堂を出ようとしたときだった
あたしより少し身軽な子供達が 勢いよく入ってくる
あたしは子供達に引っ張られていき ある場所へと向かっていく
その場所は_____
廊下の突き当たりの掲示板前
そこに一枚の紙が落ちていた
1人の男の子が 落ちている紙を拾い上げる
遠くからだとわからなかったけど
どうやら「施設内の管理用紙の一部」だった
突然聞こえる声
振り返ると ヴィクターくんがいて
メルちゃんやルカくん クロくんと紀子ちゃんがいた
しかし どこか様子がおかしい
あたしは改めて周囲を見渡してみた
クロくんは 表情を察知されないように静かにしていて
紀子ちゃんは 話さないけど指先が震えていた
ルカくんは 紙から視線をそらしていて
ヴィクターくんは 無言で壁に寄りかかっていた
あたしは心から安堵する
ルカくんが紙を見て ポツリとつぶやく
たしかに 大切なものかもしれない
あたしは勇気を出して 紙に触れようとすると_____
クロくんの冷たい声が みんなの注目を浴びる
その声は 初めて聞くクロくんの声
冷静すぎるほどに____
改めて紙を見る
破れていなくて 名前や内容はわからない
紀子ちゃんがやっと話し出した
紀子ちゃんの声は柔らかかった
だけど___その声は どこかその奥に何かを押し込めているように聞こえた
その場にいた子供達が 互いに顔を見合わせる
納得したわけではないと思う
けれど 押し切られた____
そんな予感がしたのだった______
その後 あの紙がどうなったのかはわからない
楽しかった笑い声はなく 自然に解散された食堂
その場に残ったのはあたしだけ
絶対に誰かが「何か」を隠している
誰かが「何を知らないふり」をしている
自分だけが知らないこと
それが少しだけ 気に入らなかった
けど____「知らないこと」は罪になんてならない
朝の光が 食堂の窓を照らし
その一角に影が短くあった
そこにはまだ あの「紙」が残っていたのを_____
ということで #9でした~!実はここはあまりいいお話が思い浮かばなくて かなり悪戦苦闘しながらの公開となりました!落ちていた「紙」の中は一体何だったんでしょうか…それでは また次回をお楽しみに~!ここまでのご閲覧ありがとうございました!

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!