朝の練習室は、まだ少し空気が冷たかった
ミョンホは、誰よりも早く入っていた
鏡の前
昨日何度も止められた振付を、ゆっくり確認する
音楽は流さず、頭の中でカウントを取る
ホシが示していた腕の角度、足の運び
分からなかった言葉の代わりに、目で見た動きを思い出す
ぎこちなくても、止まらない
何度も、何度も繰り返す
しばらくして、メンバーが集まり始めた
「お、早いな」
誰かが言う
ミョンホは軽く頭を下げるだけで、鏡から目を離さない
練習が始まる
「じゃ、通しで!」
音楽が流れた瞬間、ミョンホは一拍深く息を吸った
言葉じゃなく、動きで
身体を大きく使い、視線を前に向ける
昨日より、迷いが少ない
ホシが、思わず声を漏らした
ミョンホの動きが、はっきり変わっていた
振付はまだ完璧じゃない
でも、気持ちが止まっていない
ホシが叫ぶ
ミョンホは、すぐに頷いて、修正する
止められない。
言葉が全部分からなくても、空気で理解しようとする
繰り返すたびに、動きが揃っていく
休憩に入った時、ホシが近づいてきた
ミョンホは、少し驚いた顔で見上げる
ホシは一瞬言葉に詰まり、それから続けた
ミョンホは、ゆっくり首を振った
拙い韓国語だったけれど、目は真っ直ぐだった
ホシは一瞬黙って、それから笑った
その一言に、ミョンホの胸が少しだけ温かくなる
練習が終わった後
廊下で、あなたの下の名前の姿を見かけた
目が合う
ミョンホは、深く頭を下げた
あなたの下の名前は何も言わず、親指を立ててみせる
それだけで、十分だった
その夜、ミョンホは寮で一人、ノートを開いた
分からなかった韓国語を書き留め、
今日言われたことを、絵と矢印でまとめる
言葉は、まだ追いつかない
でも、諦めない方法は、もう知っている
鏡に映る自分を見て、ミョンホは小さく呟いた
静かで、確かな決意だった















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!