
試験会場の校門は、やけに静かだった。
深呼吸をしようとしても、うまくできない。
手のひらは冷たくて、胸の奥がきゅっと縮こまる。
「……緊張してる?」
ふいに、優しくて落ち着く声がした。
顔をあげると、そこには大地がいた。
言葉にできずに頷くと、彼は少しだけ目を細めて、
ポケットから小さなお守りを取り出す。
「…これさ、持ってて」
差し出されたのは、お守りだった。
それは少し暖かくて、多分ずっと手に握っていたんだろうな、と思った。
「____あなた、
全部やろうとしなくていい。ここまで来れたのは、ちゃんと自分で頑張ったからだよ。」
大地はそう言って、微笑んだ。
「大丈夫。応援してる。」













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!