ジュキヤside
見てんのバレたら殺されそ~…
緊張していたこなんを見るのは初めてだったから少し心配になり様子を見に行くことにした。
こなんとは部活も最寄りも同じだから部活ある日は毎日一緒に帰っていて、相談にお互いのるいい関係だと思う。
俺の前だと面白いのにせりしゅんに関してだとすごいきらきらして可愛くなるから、ほんとに心から応援している。
ただせりしゅんは、ねおちゃんのことが…
!?
下駄箱の裏に着いたあたりの時、聞き慣れた、でもいつもより少し震えた声が聞こえた。
ちらっと覗くと、クラスの下駄箱の前にはこなんとせりしゅんのふたりがいた。
もう少し歩いてから告白かと思っていたからあまりの早さに驚きを隠せない。
こなんは俺の前で練習していた告白とは全く違ったけど、一生懸命せりしゅんに伝えていた。
届け、せりしゅんに届け。
そう思う俺の願いも届かず、せりしゅんの声が静かな下駄箱に響き渡る。
その後は、こなんが笑って終わらせようとしていたけど、無理しているのがバレバレで。
せりしゅんが去った後の後ろ姿は震えていて、見なくても分かった。
こなん、今泣いてる。
気づいたらバレないようにしていたのも忘れて、足がこなんの方へ向かっていた。
こなんは後ろから声をかけられてビクッと驚いて振り向いた。
両目からは涙がどんどんあふれでて目も鼻も赤かった。
俺の言葉に何かが爆発したのか、大声で泣き始めたこなん。
あまりに大きな泣き声に周りからは俺が泣かせてるって勘違いされそう。
通りかかる人はみんなチラチラとこっちを見てコソコソ話していく。
こっち見てんなや、うぜぇな…
周りから隠すために俺は片手でこなんの頭を抱きしめた。
あ~俺こんなキャラじゃないんだけど。
絶対こなん後から馬鹿にしてくるやん…
まぁいっか今は。
そばにいてあげよう。
それからはこなんが泣き止むまでずっと抱きしめていた。
やっと泣き止んで帰っていたけど、こなんの元気があまりなかったので、いつも練習帰りに行くファーストフード店に寄った。
そこではずっとこなんの話を聞いていて。
家に向かう頃にはスッキリして元気になっているみたいだった。
かっこいいなこなんは。
俺には無いもの全部持ってる。
俺もいろいろ、頑張ろうかな。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。