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第22話

十八話~あの時~
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2023/06/03 08:00
それは、十二月一日…自分の誕生日のことだった。
その日、マイと自分は誕生日プレゼントを買いに、少し遠くまで出掛けていた。
その時は、純粋に楽しい、嬉しいと感じていた。
笑えていた。
そして、その帰り、電車に乗るために駅にきていた。
人が多かったが、運良く先頭に並ぶことが出来た。


…今思えば、『運良く』じゃなく、『運悪く』だったんだろう。


ホームにアナウンスが流れた。


『まもなく一番乗り場に電車が通過します。危ないですから黄色い線の内側にお下がりください…』


快速列車が通過するというアナウンスだった。
だから、あまり気に止めていなかった。よそ見をしていた。

そして、ふとマイの方に、線路の方に目を向けた。
その時、





































マイは、そこには、居なかった。
そう認識した瞬間、列車が通りすぎていく。
自分の頬に返り血がついた。
マイが、
いや、マイの『顔だけ』がホームに落ちてきた。
つんざく悲鳴、面白そうにスマホを構える人、なにもせず立ち尽くす人、駅員を呼びに行く人…
自分は動かなかった…動けなかった。
マイも…動かない。
自分はその状況をすぐには理解出来なかった。





…マイ?
どうしたの、
なんで、そんなところにいるの、
なんで、動かないの、
なんで、首から下がないの、
なんで、目を開けないの、
なんで、笑ってくれないの
なんで、なんで、なんで、
さっきまで、話してたのに、
さっきまで、笑ってたのに、
さっきまで、動いてたのに、
さっきまで、さっきまで…





































ああ。








































そうか。





































死んじゃったんだ。
























理解した時、自分の罪の意識に押し潰されそうになった。
自分がなにか、違う行動をしたら、身代わりになっていれば、マイは、マイは…






























…そこからは、良く覚えていない。
ただ、その日、お母様も死んでしまったこと。
これからは孤児院に住むことになること。
その話を警察の人がしていたのを覚えている。
それと、
原因は、分からないが、






その時から、自分は、





なにも、感じなくなっていた。笑えなくなっていた。
その事も、覚えている。


アキラくんの夢の詳しい詳細ですね。
書いてて辛くなった…だって!目の前で親友が死んだんですよ!?さらに、お母さんも死んで、しかもその日誕生日って…私だったら耐えられません。
でも、一番辛いのは、なにも感じないことですね…
悲しそうな顔してたのは、その日々が戻ってこないからなんでしょうか…
それでは!将来のニートでした~

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