第6話

 05 : 頭の中は君でいっぱい
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2025/11/08 09:36 更新




あなた
....あ、ベリー!
あなた
ごめん、お待たせ、


 いつもとは違う服に、いつもとは違う髪型、メイク。
 アイドルの時とは打って変わった雰囲気のせいか
 いつもよりも時間がかかってしまった。

 腕時計を確認して、集合時間から数分ズレてしまった針を見て、
 慌てて走ってベリーの元へ急ぐ。
 ごめん、そう謝って顔を上げれば、
 大きな目を更に見開いたベリーが目に入った。

sotm
....え!!あなたかわいい〜〜♡♡
あなた
..ほんとに?
sotm
世界一可愛い♡


 ベリーは勢いよく私に抱きつくと、
 髪型も、服装も崩れないように優しく力を込める。
 目が合えば笑ってくれるベリーは、
 心からの言葉をかけてくれている気がした。




あなた
...実はね、やっぱり推してるのバレちゃいけない気がして
あなた
雰囲気変えてみたんだよね
あなた
だから嬉しい、そう言ってくれるの
あなた
安心した


 このメイクも雰囲気をガラッと変えてみたのは、
 推しに正体をバレないようにする為だった。
 友達と会いに行く、なんて言ってはみたけれど、
 何度も出来ないし、だったらもう雰囲気を変えて
 バレないように気をつけるしかない!なんて
 安直な考えをしたのだ。
 協力してくれたベリーには少し悪い気もするけれど。

 何より、握手会に当たってしまった以上、
 私は後戻りはできない。
 もうバレないように全力で努めるか、
 開き直って正体を明かすかの2択しかなかった。
 前案を採用したまでだ。


sotm
あなたは何着てもちょ〜う可愛いから大丈夫だよ
sotm
そろそろ行こ!物販行きたいんでしょ?
あなた
うん、ありがと!


 無理矢理誘ってしまったような物だけど、
 楽しそうに笑ってくれるベリーの後ろ姿に安心して
 駆け足で隣に立つと、目が合って笑ってくれる。
 そんなベリーの表情に緊張が少しだけ解れた気がした。





 *

 
あなた
...


 広くて、大勢いる会場に、ファンが湧き立つ音が聞こえる。
 席は御世辞にも近いと言えるものでもなかったけれど、
 一直線上に見える大きなステージは、
 明るく彩られている。


あなた
...〜っ私今日死ぬかも、
sotm
ライブってこんな感じなんだ〜!
sotm
あなた緊張しすぎだよ笑



 新鮮そうに、楽しそうな顔をするベリーに対して、 
 緊張して今にも吐きそうな私。
 さっき解れた筈の緊張は、会場に入ったことで
 今から推しに会うという事実を確信させられ吹っ飛んでしまった。

 水分補給をして、深呼吸をして落ち着かせようとしても、
 今から推しがここに現れる事を考えると
 そんなものはすぐ途切れる。
 それに、今から現れる推しと同じ空気を吸うことを
 考えると息をするのも憚られるほどなのだ。

 そんなことを考えていても、時間はすぎる一方で、
 大きな歓声と共に、明るく照らされたステージに
 大好きな人の影が映った。


inm
〜♩
あなた
っ〜!!



 楽しそうに歌って踊って、話して、
 そんな彼の姿に目を奪われる。
 さっきまでの緊張なんて無かったみたいに
 吹っ飛んでしまうくらいに、貴方でいっぱいになる。

 息を忘れるほどの綺麗な景色に、
 楽しそうに歌うその姿に、
 他の事を考えられる隙なんてなかった。




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