ひんやりとしたハンジの手が額に触れる。
熱が出たからあの夢を見たのか、あの夢を見たから熱が出たのかは分からないけど、そこに何かしらの因果関係があるのは確かだろう。
昔の夢を見ると、必ず熱を伴う。
やっと調査兵団に入れたのに。今となっては分隊長まで上り詰めた義理の兄に憧れてね。
…眠い。こんなに眠ることを許してくれる日などなかなかない。思いっきり眠ってしまおう。
寝ようと思った矢先に来客か。
相変わらず何を考えてるのか分からないその顔で私に詰め寄ってくる彼こそが義理の兄である。
まさか。あんなものを独学でなんて有り得ない。
確かにそれは人類の存続への一歩となり得るだろう。
扉が閉まると同時に、はあ、とため息をつく。
なぜ昔の夢を見た直後にまた思い出させるようなことを言うのだ。余計に熱が悪化した気がする。
そんな会話をしたのが数日前だ。
帰ってきたエルヴィンはかなり満足げな顔をしており、私はああ捕獲できたんだな、とどこか他人事のように考えていた。
しかし、それが私自身にも大きく関わることだと知ったのは、集会と称し集められた時だった。
私は背筋を伸ばして立ちながら、めんどくさいがゆっくりと前を向いた。
すんでのところで声を抑えることができた。
いや、しかし…彼は……
声すら出なかったし、その後のことは全く覚えていなかった。
気づけば自室のベッドの上で、窓からはピヨピヨと小鳥のさえずりが聞こえる。
どうやら悪い夢というわけでもなく…
寝巻きだけど構ってられるか。
できれば本人には会いたくない。エルヴィンに全部背景を説明してもらわないと。
あまり新兵がずかずか入り込むのはよろしくない上官の自室。
それでも容赦なくエルヴィンの自室に突撃した。
しかし部屋は暗く何の反応も示さないため不在かと思われたか…
妙にふくらんでいる布団に近づき、布団を剥ぎ取った。
カーテンと窓を開けると、暖かい陽の光とそよ風が部屋へ入り込んでくる。
タオルを水で濡らし顔に投げつける。
のろのろと顔を拭いている姿が分隊長だなんて思えない。ていうか起きて泡で洗えばいいのに。
……まずい。
このままじゃ確実に出会うことになる。彼がこちらを覚えていないことに賭けるしかないのかもしれない。
とりあえずソファのクッションを投げつけて部屋を出た。
ふと、見慣れない女性兵士が横切った。
どこかで見たことがあったような気がする。元気に跳ねた赤毛に、翡翠のような瞳……
小さく呟いた私の声に彼女は気づいたようで、彼女はゆっくり振り向いた。
イザベルは私の胸へと飛び込み、やがてわんわんと泣き始めた。
実に17年ぶりの邂逅である。
よかった。私がいなくなった後もちゃんと生きていけたんだ。
十分に抱擁を交わしていると、イザベルの背の向こう側に2人、誰かがいることに気がついた。
私がイザベルを助けられたことも、元を辿ればすぐそこでこちらを見張っている人物に起因するのだが…
彼は私の名前を聞くなり、鋭い目で睨みつけてきた。
口に出したことは全て本音だったが、その目から逃げたかったというのもまた本音だった。どうせ見張りには来るだろうけど。
イザベルを連れ食堂に行き、対面して席に座った。
半分本当、半分嘘。
お母さんに会いに行ってから、私はふらふらと地下を彷徨っていた。
そこで、私は気づいたのだ。
いつもは通行料を取ろうと見張っている男たちが影も形もなかったのだ。
…そういえば、さっき"地下街の天使"を嬲っていた中に奴らがいたのかもしれない。
イザベルのことも、他のみんなのこともどうでもよくなって、私は連絡通路へ駆け出した。
もうこんな淀んだ地下なんて嫌だ。あんなものに関わるなんてもうごめんだ。
すぐそこに、光が見えるのに。
私は後先など微塵も考えずに、その光に飛び込んだ。
そこは裏路地のようだった。裏路地といっても、地下よりもずっと眩しい。
空気が透き通っているように感じた。
しばらくその空気と、真上にところどころ見える青い何かに呆然としていた。
これ、言っちゃっていいのか?
ミットラスまで出張に来て偶然私を拾ったのが、イザベル達がまあまあ良くは思っていないだろうエルヴィン・スミスの父親だと。
まあ、現に元気そうなのであまり心配はしなくてよさそうだ。
そして、本日の訓練が行われることになった。
私はイザベルといっしょに行動していたので訓練中にリヴァイに話しかけられることはなかったが、訓練が終わればあちらの方からこちらへ近づいてくる気配がしたので、逃げた。
逃げて逃げて逃げまくった。
訓練中はもちろん、普段の生活でも鉢合わせないように気を使った。
だって、私が恨まれていないはずがない。
どう顔を合わせていいのか分からない。
殺されるくらいされてもおかしくない。…のに。
そんな生活を3日続けた。
依然としてイザベルは私にくっついてるし、リヴァイは常にファーランとかいう男と行動している。
…来た。
深夜、誰もいない食堂に水を飲みにきていた私はイザベルに呼び止められ、ついに覚悟を決めることになった。
…いや、覚悟なんか決まるもんか。
後ずさって逃げようとした矢先、脚が何かにひっかかりそのまま派手に転んだところを拘束された。
本能的に逃げようとするが、肝心な腕も脚も動かない。
かろうじて後ろを見れば、私を押さえつけているのがファーランだということが分かった。
再び前を向くと、何度も忘れようとして忘れられなかった顔が、遥か頭上から見下ろしていた。
あ、私殺されるんだ。
私が弁解をしようと口を開けた時だった。
なんの話ですか?殺されるんじゃなかったんですか?
予想していたものとは遥かに違う話をされて、私の脳は絶賛大混乱中。
やっとのことで解放され、面接のような形で3人と対面して座る。
蝋燭がゆらゆら揺れる。辺りは暗闇だ。
第一声に、責められるかと思った。
なのに、そんな私に怒る様子など全くない。
暗がりのせいで、俯いてしまったリヴァイの顔は見えない。
この沈黙を破ったのは、素っ頓狂な声を上げたイザベルだった。
イザベルがリヴァイの背中を押して、強制的に食堂から押し出して行った。
私はそれを見送ってから、そういえばまだひとり残ってることを思い出した。
ファーランはどこからかメモ帳と万年筆を取り出し、メモの準備を始めた。
ファーランはインクを乾かそうとぱたぱたと手を振っている。
やがて十分に乾いたのか、メモ帳をポケットに仕舞った。
あのバカ兄貴、一体どんなゲスい手を…
…まあ、今はそんなことどうでもいいか。
たった今ファーランに聞いた話を噛み締めながら、自室に戻りベッドに転がった。
罪悪感はいっそう強くなったけど、それ以上に「リヴァイが生きててよかった」という気持ちが、私の心を満たしていった。
暑い。息苦しい。嫌な感覚がする。何度も体験した…
またあの夢だ。
時刻は…9時…?
終わった…
いや、ハンジが報告入れてるはずでしょ。ほら、こんなところにあったかそうなお粥が。
…普段熱を出した時にはスープが出るはずだが?
朝からものすごい目力で見つめられ、思わず目を逸らした。
なぜそんなことでいちいち詰められなければならないのだ。
ため息をつくと、その息がとても熱いことを痛感してさらに気が滅入ってしまう。
エルヴィンは深く深呼吸をしてから、私に向き直った。
すっげー情緒不安定だなこの人。
食欲はあまりないが、せっかく用意されたお粥なのだから食べないと。
お粥を噴き出しそうになったところでギリ耐えた。
夕方、訓練を終えたイザベルが部屋を訪ねてきた。
同じ班ということでハンジとも仲良くなったらしく、ふたりいっしょに帰ってきた。
この熱も軽いもので、今まで翌日に持ち越したことは一度もない。
女子トークに花を咲かせていたのも束の間だった。
廊下からガシャン、とかなり大きめな衝撃音が連続で鳴り響いた。
まさにドンガラガッシャン。私たちは一瞬にしてフリーズした。
イザベルはドアへ突っ走り、そのドアを開け放った。
それを追いかけた私がまず見たものは荒れた廊下。
私は部屋の中から廊下を覗き見た。
珍しいもの見たさにその騒動の周りに集まる兵士たち。
そしてその中心では、リヴァイがひとりの男と取っ組み合っていた。
ふたりの顔面には、殴りあったのか無数の痣がこびりついていた。
誰も止めようとしない。私が止めようにも新兵だし女だし、何より外野のせいでそこまでたどり着くことができない。
…ヤバい。もし、何かあったら……
自分が熱を出していることなんかすっかり忘れていた。頭痛や耳鳴りが酷い。
…かろうじて開いていた目に、ひときわ大きな人影がふたつ、映りこんだ。
リヴァイはエルヴィンに手首を捻りあげられ、じたばたともがいている。
そして、私はそのエルヴィンの眼差しを見た瞬間、背筋が凍った。
あんなに冷たいアイスブルーの瞳、私でも見たことなかったから。
喧嘩した時も父親が死んだ時も調査兵団に入ると決めた時も、私はあれを見たことがない。
リヴァイはまだ暴れているが、引きずられるようにしてエルヴィンの自室へ連れて行かれようとしている。
イザベルと顔を見合わせ、少なくなった外野の隙間を通り抜け追いかける。
頭痛なんか構ってられるか。
バタンと乱暴な音をたてて閉められたドアに耳を当てる。
中の音は問題なく聞こえる。
…意外と、普通の説教だな。
今朝はあんなに情熱的なこと言ってたのに。セクハラでもやらかすのかと思ったけど。
…って、違う違う。今は不在のファーランの代わりに私たちが見てやっていないといけないのに。
急にリヴァイが口ごもった。
そこで、ふとファーランの言葉が頭をよぎった。
"平気そうな顔してても、手が震えてたら限界のサインだ"
もしかしたら、声は平気そうではあるが扉の向こうでぶるぶる震えているのかもしれない。
ドサ、と人の倒れる音がした。
…くっそ。私がもうちょっと出しゃばっていれば!
私は感情に任せてそのドアを開け、そのまま部屋へと突撃した…つもりだった。
途端に身体から力が抜け、胴体が地面へと激突した。
…熱あるんだった。
ごめんイザベル、エルヴィン。私ちょっと意識が…
私はエルヴィンの部屋のベッドで目が覚めた。
倒れてから30分も経っていないようだ。
一方、リヴァイはソファで寝かされているが、悪夢に魘されているかのように時々呻き声をあげている。
…私の目の前で修羅場になるのはやめてほしい。
ファーランの言っていた「慕情」に特別な意味があるのかないのかは分からないけど、幼い頃お母さんに読み聞かせてもらった古ぼけた絵本に書いてあった。これ、完全にヒロインの取り合いだなあ。
エルヴィンも、これは真面目な話だと理解したようであっさりと承諾した。
長年の付き合いの私だから分かるが、精一杯譲歩した方だろう。
ファーランは風のような速さでリヴァイをおぶり、そのまま部屋から出て行った。
ドアが閉まると同時に、エルヴィンは大きなため息をついた。
いつもの不気味な笑顔を読むことはできないが、私は思い出した。
次の壁外調査が、すぐ近くに迫っていることに。
私はこれまでに何度か壁外調査に参加しているが、それでも命が脅かされる状況に慣れてしまうことはないだろう。
外に出れば視界を覆う大きな壁はなくて、どこまでも草原が広がっているだけだった。
馬に乗りながらそうこうしているうちに、遥か前方に複数の巨人が現れた。
先輩がたは立体機動に移り、ばしばしと巨人と戦っている。
そう思ったのも束の間、何人かが巨人に丸呑みにされているところを見てしまった。
しかし、巨人はばったばったと倒されてゆく。
先輩たちすっご…
って、だめだ…とにかく、死なないことに全力を尽くさないと。
絶好調…だったはずだ。
やがて雲行きが怪しくなり、ぽつぽつと雨が降ってきた。
前すらあまり見えない。これじゃあ巨人が襲ってきても見えやしない。
まさかとは思うが、全滅とかしたりしないよな…
いいや、ネガティブなこと考えてちゃだめだ。今はとにかく、生き残るという仕事を全うしなければ。
結果として、私は無傷で生還することができた。
しかし、みんな酷い怪我をしていた。帰りの門をくぐり一安心して周りを見た時に、その赤にはじめて気がついた。
壁外調査から3日。私は頬杖をつきながら死亡者・行方不明者リストを眺めている。
もしかしたら知り合いが載っているんじゃないか、など考える余裕はなかった。
何しろ目の前で人が食われるのを見て正気でいられるわけがないだろう。おかげで全く眠れていない。
今回の結果はかなり悲惨だった。上の人間は今頃酷い兵士のアフターケアに追われていることだろう。
分隊長サマの自室へ呼ばれた。丁度、なんのやる気も起きなかったから丁度いいのかもしれない。
部屋に入れば、いつもはキリっとした分隊長サマの顔が疲れた兄の顔に変わるというのに、今日は分隊長顔のままだ。
なかなか喋ろうともしない私に、エルヴィンは俯いてため息をついた。
イザベルとも、ファーランとも、これからも一緒にいれると思っていたのに。
どうしてこんなことになってるんだ。
頭の中は真っ白で、何も考えることができなかった。
リヴァイは…リヴァイはどこにいるのだろう。
エルヴィンの言うことを無視して、エルヴィンの後ろを歩く。
リヴァイに何かあったときの責任は私が取らなければいけないのに。
エルヴィンは部屋を出るかと思いきや、仮眠室へ足を向けた。
仮眠室のベッドには、私よりも濃い隈が顔にこびりついているリヴァイが眠っていた。
寝ているリヴァイの肩をゆさぶれば、顔をしかめるだけで起きる気配はない。
そう語りかけて、やっとリヴァイは目を開けた。
リヴァイは寝ぼけた様子でまわりを見渡したが、視界にエルヴィンが入った瞬間に身体を強ばらせた。
そんなに身体が震えてて、問題ないわけないのに。
エルヴィンはリヴァイの肩に手を起き、胡散臭い王子様スマイルで語りかけた。
これで茶番は終わったかな?と思ったが、まだ続きがあったようだ。
そのまま、リヴァイの手の甲にキスを落とした。
…やりやがった!私の目の前で!
リヴァイは固まって動けない様子なので助け舟を出そうかと思ったが、リヴァイの顔を見て、それは必要ないと判断した。
無事ゴールイン。おめでとう。
…じゃねえよ、私は何を見せられているんだ。何呑気に実況してるんだ。
エルヴィンがリヴァイに優しく触れ、そのまま抱き締めると満足そうな顔をした。
で、私は何を見せられている?
このような形で、私の17年の罪悪感は泡に溶けたように解決したのだった。
【あとがき】
リヴァ虐欲が止まらない。
冬休みの勉強の息抜きに小説書くのは最適。
これ読み直した時の羞恥心が半端なかった。人類のために捧げるはずの心臓弾け飛ぶかと思った。たぶん一生読み返さない。
こんなもんに本気出して高校の志望理由書を適当に書いてたら担任にボロクソに訂正された。
【おまけ】ファーリ大好きなのに描写が少なすぎたため書いちゃう
はじめてリヴァイを見た時、ああこいつが"地下街の天使"か、と納得したのを覚えている。羽をむしり取られた無様な姿なのに。姿なんて見たことなんてないのに確信した。
可哀想に。俺が救ってやるからな…って、それしか考えられなかった。
地下ではよくあることなのに、こんな複雑な感情を抱いたのははじめてだった。
傷を悪化させないようにおぶって、自分の暮らす家へ連れてゆく。
こんなに美しい天使をうちなんかに入れていいものかと思ったが、それで天使を失うわけにはいかないから。
今思うと、彼には人を惑わす不思議な力があるのだと思う。俺が救ってやらないと。助けてやらないと。そんな気持ちでいっぱいだった。
飲むためにとっておいた綺麗な水をタオルに染み込ませ、隅々まで身体を拭いてやった。怪我をしているところにはできる限りの手当てをしてやった。
彼の破けた服はどうしよう。そうだ、俺のを着せてやればいい。少し大きいかもしれないけど。
俺の余ってる服を着せてやったら、思わず息を飲んだ。
すっごく庇護欲がそそられる。俺はそれを何時間も眺めた。その末、恐る恐る、リヴァイに手を伸ばした時だった。
彼は目を開けた。ブルーグレイの美しい瞳だった。
ああ、綺麗だ…
なんと声をかけていいのか分からなかった。それでも、何かしら声をかけようと口を開いた時だった。
天使は俺を視界にとらえた時、ぶるぶる震えながら後ずさった。傷にさわるだろうに。
「やめろ」「いやだ」「来るな」「やめてくれ」「許して」などと口走っていて、なんて可哀想なんだと思った。
「傷が悪化するから動かない方がいい。骨だって折れてるだろ」って言ってもリヴァイの態度は変わらなくて、俺は無理やり抱き寄せて背を撫でてやった。そして「大丈夫だ」って語りかけてやる。
今でもその対応が正しかったかのかは分からない。
しばらくそれを続けていると、糸が切れたようにその身体から力が抜けた。
以前、同じような目に遭った少女を看病してあげたことがあった。彼女は傷が治れば帰してやったが、俺はこの天使を手放す気なんて全くなかった。
それから、無事に俺はリヴァイの信頼を勝ち取ることができた。
優しく「何もしないから」って語りかけてやること数日、ようやく名前を教えてくれた。
俺は何かと理由をつけて、リヴァイをうちに住まわせてやることにした。
そこでリヴァイと暮らして気づいたのは、彼は意外とフィジカルが強くて、ちょっとやそっとじゃ屈したりなんかしないことだ。
それでも大柄な男に対する恐怖心は拭えないようで、リヴァイが男と喧嘩している時に俺が割って入ったことなんか何度もある。
一度だけ、リヴァイがぶっ倒れたことがある。
やっぱりそのへんの男たちと喧嘩していた時のことだが、その時のリヴァイの怒り方は尋常じゃなかった。
俺が止めようとした時、リヴァイはついに男の息の根を止めた。
そして、次々とそいつらを殺してた。足元はもう血の海だった。
その時はまだ依頼なんかとってなくて、きっとリヴァイが人を殺すのもはじめてだったと思う。
手がすごい震えてて、まずいって思った。俺が立ち止まって呆然としていたら、リヴァイはそのまま倒れた。
起きたリヴァイに聞いたんだ、何があったんだって。
そしたら、リヴァイは「あいつらが俺を犯ったやつだ。だから殺した」って、すごい清々しい顔で言ってた。
それでも、俺はリヴァイがとても怖がってたことを知ってる。その時でもう一緒にいて何年かは経ってたし。
だから俺はリヴァイのことをちゃんと抱き締めてやった。そうしたらいつの間にかリヴァイは俺の腕の中で泣いてた。
とても綺麗な涙だったよ。お前に見せたいくらい。
いや、お前も見ただろ、あの宝石を。でもな、俺だけの天使の涙がいちばん美しいんだぜ。
…それから、今の今までリヴァイと一緒だ。
途中でイザベルを仲間にした時は…こう言っちゃなんだが、リヴァイを取られるって思った。
…お前が聞きたかったのはこんな話か?分隊長さんよ。
お前なんかにリヴァイを取られてたまるかよ。分かったら早く寝かせてくれ、リヴァイをそばに置いておかないと落ち着かないんだ。
…間違ってもうちのリヴァイがお前に靡くことなんてないだろうな。
……壁外調査?もちろん参加するが、それがなんだ?分隊長さん。
…そうかよ。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。