母が作ってくれるお弁当は、
いつも味が濃い。
今日のメニューはガパオライスだったのだが、
どうやら今回も例に漏れずたっぷりと
スパイスを入れ込んだようである。
ロッカーから財布を取り出すと、
隣のロッカーからも財布を取り出す
同級生が数人居た。
そう言いながらも、嬉しそうにはにかむ一人に
数人の男子生徒がわらわらと着いていく。
気まずく無いように、一定の距離を保って、
ボクも彼らの後ろを着いて歩く
ジャラジャラと小銭を自販機に入れ、
麦茶にしようか緑茶にしようか暫し悩み
"おーっとお茶"と書かれたラベルのボタンを
押…押す…………
定番であるはずのお茶がなぜに一番上に…
ボクの指は、"ほんの少し"届かなかった
諦めて一つ下の"やさしすぎる麦茶"のボタン
に手を伸ばした
ガコン
ボクの背から手を伸ばしてボタンを押したのは
ハルだった
…よくのうのうも近付いて来れるな…?
つい昨日、あんなことをしたのに…
思い出しただけでも、
甘さが口内に鮮やかに蘇る
…思い出したくない…
その思いでスタスタと早足で教室へ戻ろうとした
後ろから、あの大きな手をボクの腰に回し、
抱きついてきた
鼓動が、早くなる
脳が 揺れ、はじ め
呼吸 が 荒 く …
何ということだろう
こんなにも早くチャンスが来るだなんて
思ってもみなかったかった
あのサクラさんが、こんなに必死に、
おれにキスを迫るだなんて……
おれと触れたことで発作が起きたサクラさんに、
昨日の様に薬を"口移し"で飲ませてやろうか、
と戯言を零してみたところ、予想外にも
サクラさんはこの話に乗ってしまい、
何故か過呼吸になっている人間に
引っ張られてトイレの個室に入るという、
異様な光景になってしまった。
おれが"薬"を口に含んだ瞬間、
サクラさんは必死に唇を寄せてくる
あぁ…やっぱり……
サクラさんとのキスは
すごく甘い。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。