武装探偵社のオフィスは、珍しく全員が揃っていた。
理由はただ一つ、八雲蒼空の長期出張の見送りだ。
普段は軽口の飛び交う探偵社だが、一年の別れを前に、どこか湿っぽい空気が流れている。
蒼空は笑った。手には国木田が渡したスケジュール表の束。
もちろん、彼女はこれを守る気など毛頭ない。
太宰治がいつもの調子で、しかしその目に真剣な光を湛えて言う。
蒼空はにやりと笑い、テーブルに分厚い封筒を滑らせた。
中身は、最近横浜で騒がせていた未解決事件の「答え合わせ」のメモと、いくつかの推理に使える裏情報だ。
乱歩が興味深そうにそれを手に取る。
蒼空は得意げに胸を張る。
ユーモアを交え、場の空気を和ませる。
だが、彼女の腹黒い本性は、ある男の質問で顔を出す。
中島敦が素直に尋ねた。
その瞬間、蒼空の瞳がチカリと一瞬、琥珀色に光った。
それは《鑑定》を発動した証。彼の質問の裏に、純粋な心配しかないことを確認する。
蒼空は肩をすくめた。嘘ではない。本当に言わないよう指示を受けている。
だが、その言いたくない理由の裏に、マフィア時代の因縁が絡んでいることを、探偵社の面々はなんとなく察した。
一番奥で腕を組んでいた中原中也が、静かに口を開く。
中也は「相棒」としての蒼空の力を誰よりも知っている。
だが、一年の空白は埋めがたいものだ。
蒼空は最後に一瞥。太宰、中也、そして信頼する探偵社の仲間たち。
軽く手を振ると、蒼空は夜の帳へと向かった。
遠距離戦を得意とする彼女にとって、夜は故郷のようなもの。
誰も見ていない場所まで来て、彼女はふっと笑みを消した。
琥珀色の瞳は、夜闇の中でも遠くを見つめている。
懐から取り出した投げナイフを指先で回す。
その輝きは、月夜の下で《月夜見》の影の武器に姿を変えようとしていた。
彼女は知っている。この出張が、ただの任務ではないことを。

名前:八雲 蒼空
年齢:22歳
身長:173㎝
体重:ヒミツだよ☆ by蒼空
通り名:夜の姫
異能力:《月夜見》
・影からモノを作り出す
・『鑑定』をし、相手の強さ、個人情報などを見る。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。