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第208話

後日談
94
2026/07/09 23:52 更新
オレは、無敗の王者と戦うことを諦めた。




手にはあなたが表紙を飾る雑誌の数々。




メディアにもSNSにも公表せずに、
ガラルが寝静まった深夜にオレは。




ひっそりと、ガラルを出た。
キバナ
キバナ
ダセェ真似してんなァ…。

導かれるようにオレの足はカロスに向かった。




1度だけ案内されたエイセツシティ。




オレはエイセツジムの扉を、
恐る恐る開いた。
ウルップ
ウルップ
あれだよ、あなたの…。
キバナ
キバナ
……っス。
まともに顔は見れなかった。




オレが、あなたを守れなかったから。
ウルップ
ウルップ
…あれだよ、ポケモンのむら、
顔出しておくか……?
キバナ
キバナ
………そう、っすね。
ウルップさんにさえ顔向け出来ないのに。




あなたの親父のカビゴンに、
オレはどんな顔で会えばいいのだろう。




そんな葛藤が頭の中をぐるぐる巡った。
キバナ
キバナ
……?
久しぶりのポケモンの村。



風がどこか心地よかった。




オレは真っ直ぐにあの櫓へ向かう。
キバナ
キバナ
すんません、
また2人で来るって約束…ッ、
途中で言葉を詰まらせても、
カビゴンは真剣な表情でオレを見ていた。
キバナ
キバナ
約束…、守れな…かった……っ
あなたと…、ごめんなさい…!
カビゴン
カビゴン
がぁ…。
カビゴンは全てを受け入れるように、
オレの肩に手を置いて抱きしめた。
キバナ
キバナ
あ……あぁ…ぅ…、
そこで、ようやく気が付いた。




オレがボロボロと泣いていることに。
キバナ
キバナ
あ、ぇ、あれ…?
おか…し、なぁ…っ
独りで居る時は全く泣けなかったのに。




火葬でも葬儀でも泣けなかったのに。




今はこのあなたの父親から感じる想いが、
オレの凍った心を溶かしているようだった。
カビゴン
カビゴン
……がぁ、がぉ。
怒っている様子にも見えないカビゴンは、
ただ静かに深呼吸をして空を見上げた。




オレも同じように空を見上げると、
綺麗な白い雲が靡くようにゆっくりと流れていた。



それはまるであなたのあの白髪のようで。




オレはそれを掴もうもしたんだ。
キバナ
キバナ
あれは全部、オレのもんなのに…ッ
キバナ
キバナ
ずっとずっとそばに居るはずだったのに
フラッシュバックする。



あなたが刺されたあのシーン。



目の前を赤が飛び散るスローモーション。



我を忘れて天に手を指し出した時だった。
キバナ
キバナ
……ッ!?
突如、突風が吹いて、
雲は流れ、空は青くなってしまった。




でもこの場所にいれば、
いつか雲になったあなたが姿を見せてくれる。
キバナ
キバナ
オレは、それだけでいい…っ
例えそれが妄想だとしても。



例えそれが幻覚だとしても。



例えそれが呪いだとしても。



オレは、今、あなたの見てた世界を、
こんなにも美しい場所から眺められる。
キバナ
キバナ
オマエがオレを連れてく日まで、
オレはずっと、ここで…























キバナ
キバナ
この身が朽ち果てるまで。
オレはずっと待ってるぜ。

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