第34話

まだ、ここにいたかったのに
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2025/07/01 10:00 更新
その日、プレイルームはいつもよりも少しにぎやかだった。

輪になって折り紙をする子たち、ぬいぐるみでごっこ遊びをする子たち。
あなたは、ディノの隣に座りながら、のあを抱えて静かに見守っていた。
ミョンホ
ミョンホ
あなた、これ見て。うさぎ作った
ミョンホが見せてくれた白い折り紙。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
......かわいい
あなたがそっと言うと、ミョンホがうれしそうに笑った。
ミョンホ
ミョンホ
あなたも、折る? これ簡単だよ
ディノが差し出したピンクの折り紙に、あなたは小さく手を伸ばした。

指先が、紙に触れた。

そのときだった。

──胸の奥が、ぎゅうっとつかまれたような感覚。
息が、うまく吸えない。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
......っ......
あなたの手が、折り紙から離れる。
のあを抱いたまま、胸を押さえる。
ディノ
ディノ
あなた...?
ディノが気づいて、すぐにそばにかけよる。
ディノ
ディノ
大丈夫? 息、苦しい?
あなたは何も言えず、ただ小さくうなずいた。

その場にいた子たちもざわつき、すぐに看護師が呼ばれた。
ジョンハン先生が駆けつけ、吸入器が用意される。
ジョンハン先生
ジョンハン先生
ごめんね、あなた。ちょっと深呼吸できるかな?
先生の声が優しく響く中、あなたは涙をこらえながら、マスクをあてられるのをじっと受け入れた。




落ち着いたあと、病室へ戻った。
のあを抱きながら、あなたは目を閉じていた。

ディノは、何も言わずそばに座っていた。
あなたの気持ちを、急かさないように。

しばらくして、あなたがぽつりと言った。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
……まだ、いたかったのに。……みんなと、おりがみ、したかったのに
ディノがそっと答える。
ディノ
ディノ
うん。……あなたは、がんばってたよ。ずっとちゃんと、いたかったよね
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
いたかったのに……できなかった
のあの耳をぎゅっとつかむ小さな手が震えていた。

ミンギュが静かに言う。
ミンギュ
ミンギュ
できなかったことより、“やりたかった”って気持ちの方が、大事だよ
ウジも言葉を添える。
ウジ
ウジ
今日のあなたは、昨日のあなたより、少しだけ前に進んでた。
それは、誰がなんと言っても、本当のことだよ
あなたはゆっくりと目を開け、のあの顔を見た。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
……また、いけるかな
ディノが笑って、うなずく。
ディノ
ディノ
うん。何度でも、いこう。いける日が、また来るよ






がんばっても、うまくいかない日がある。
でも、“またやってみたい”と思えることは、心の中にちゃんと残っている。

あなたはその夜、のあといっしょに、小さな紙うさぎを布団の横に並べて、眠りについた。







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大学に向けて受験勉強に励みつつ、みなさんに楽しんでいただけるようなお話を書いてます🍀*゜

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