第37話

第37話、睨み合い
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2025/10/14 12:58 更新
蝶は羽ばたく、どこまでも______






















十六夜咲夜
十六夜咲夜
ハァ…もう……何で、あなたもついて来たんですか?
咲夜は軽くため息をつき、しのぶの真横で腕を組み直した。夜風が二人の衣擦れを靡かせる。
咲夜の声には呆れ混じりの苛立ちが含まれていた。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
あら、ダメなんですか?
しのぶはゆったりと首をかしげ、にこりと返す。
咲夜の表情が一瞬硬くなる。冷たい月光の下で鋭く言い放つ。
十六夜咲夜
十六夜咲夜
当たり前ですよ。普通は人間がそんなにぷらぷらと歩き回っていいような場所ではないのですよ。
しのぶは淡々とした口調で、しかしその瞳には含みを持たせて答えた。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
……それは……私がすぐに食い殺されると思ってるんですか?
十六夜咲夜
十六夜咲夜
………いえ。
短く返した咲夜は恐る恐るとしのぶの方を見る。
十六夜咲夜
十六夜咲夜
………あなた、よくもまぁ、抵抗もなく空を飛べますね。怖くないんですか?
咲夜は半眼のまま隣を見やり、吐き捨てるように言った。
しのぶは夜空に身を委ねながら、楽しげに息を漏らす。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
不思議と恐怖はないですね。というか、今は飛んでるというより、浮いてる感覚に近いですがね。……やれば出来るものなんですね。
咲夜は呆れたように肩をすくめる。
十六夜咲夜
十六夜咲夜
あなたが特殊すぎるだけよ。普通はできないんだから。
一瞬、月明かりが二人の横顔を照らす。咲夜はちらと視線を横に流し、内心で小さく息をついた。
十六夜咲夜
十六夜咲夜
(まぁ、ここに入り込んで来た時点で普通の……いや、人間では無かったわけですが………それでも、躊躇なく……)
咲夜は夜空を仰ぐしのぶの横顔をじっと見つめる。
そんなしのぶの手が、ゆっくりと宙に掲げられた。
しのぶの口元に浮かんだ笑みは、どこか儚げで、しかし確かな強さを秘めていた。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
………フフッ……
小さな笑い声。だが、その瞳に宿る光は、悲しみに濡れているようにも見える。
その光景を咲夜はただ、見つめていた。







そんな中、咲夜は胸の奥で独り言のように思った。
十六夜咲夜
十六夜咲夜
(死か……私には遠いようで……近い存在なのかもね……)
月の光に照らされる彼女の横顔は、どこか過去を背負う者の顔に見えた。
十六夜咲夜
十六夜咲夜
(………あなた方は……あっち外の世界では何をしていたんでしょうか……)
静寂の夜風が2人の間を吹き抜ける。咲夜の問いかけは声にならず、そのまま夜空に溶けていった。







迷いの竹林______
胡蝶カナエ
胡蝶カナエ
カナヲ。
レミリア・スカーレット
レミリア・スカーレット
!?
その名が竹林に響くと同時に、レミリアははっとして振り向いた。
レミリア・スカーレット
レミリア・スカーレット
やっぱり、あなた……しのぶの姉なのね。
レミリアが目を細め、カナエを睨みつけるように言う。
胡蝶カナエ
胡蝶カナエ
あら……しのぶを知ってるの?
カナエはレミリアをきょとんとした顔で見つめる。
レミリア・スカーレット
レミリア・スカーレット
まぁ、一応。でも、今はそれより……
レミリアは薄っすらと感じていた。嫌な気配を…そして、レミリアが振り返った瞬間、甲高い声が響く。
フランドール・スカーレット
フランドール・スカーレット
アハッ……あなた、今……お姉様の弾幕、避けた!!避けた!!
フランが目を輝かせ、楽しげに笑う。まるで、久しぶりに楽しそうなおもちゃを見た子供のような顔で。
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
………??
そのフランの姿と気配を感じ取り、カナヲは一歩後ずさり、訳も分からず構えを取った。
レミリア・スカーレット
レミリア・スカーレット
(やっぱり……今のでフランのスイッチが入った!)
そう。レミリアは感じていた嫌な気配。フランの目の前で彼女が興味を持ちそうなことをしたら、一瞬で遊んでモードになることを。そして、レミリアの胸中に冷たい予感が走る。
フランドール・スカーレット
フランドール・スカーレット
フフフフ……おもしろーい!私と遊んで!
フランの声色が、不気味に弾んだ。このフランの発言により、レミリアは瞬時に理解した。冷めきっていた時に久しぶりに現れた楽しそうなおもちゃ……今のフランには手加減をする余裕がないことに。
レミリア・スカーレット
レミリア・スカーレット
ハァ……
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
!!
レミリアが一瞬で前に飛び出す。その瞬間、カナヲの全身に緊張が走る。
ピンッ………ドドドーーン!!!
フランの高笑いと共に竹林が轟音と光で震え、辺りに煙が立ちこもった。





辺りの煙がゆっくりと晴れていく。
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
…えっ!?
カナヲが目を見開いた。
レミリア・スカーレット
レミリア・スカーレット
ふぅ……ギリギリセーフね。
レミリアが小さく息を吐く。その腕の中には、爆発に巻き込まれる寸前で抱きかかえられたカナヲの姿があった。




十六夜咲夜
十六夜咲夜
妹様……さすがに、やんちゃがすぎるかと……
フランの耳元に静かな声が響く。
フランドール・スカーレット
フランドール・スカーレット
咲夜!?
振り返ったフランの目に、両肩を後ろからしっかりと押さえつけられた自分の姿が映った。
フランは悔しそうに口を尖らせた。
だが咲夜の握る手は強く、決して振り払えそうになかった。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
カナヲ!
澄んだ声が響く。竹林の間から姿を現したのは、胡蝶しのぶだった。
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
師範!?
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
大丈夫ですか?
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
は、はい……私は特に……
カナヲの言葉に、しのぶは短く息をつく。だがその瞳には、明らかな警戒の色が宿っていた。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
…………
レミリア・スカーレット
レミリア・スカーレット
何よ?
レミリアが腕を組んで言う。
レミリア・スカーレット
レミリア・スカーレット
睨むんじゃないわよ。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
あなた……カナヲに何かしましたか?
しのぶの声音は静かだが、棘を含んでいた。
レミリア・スカーレット
レミリア・スカーレット
何も。というか、最初に仕掛けてきたのは…そっちなんだけどね。
レミリアが冷たく言い返す。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
………それはそうでしょうね。あなたたちは……“鬼”ですから。カナヲの判断は正しいです。


ピキッと、空気が凍る。

レミリア・スカーレット
レミリア・スカーレット
!!
だから、私は吸血鬼だって言ってるでしょ!あなたたちの言う“鬼”とは別物だって言っただろうが!!
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
ですが……現にあなたの妹さんは、私の継子でもあり妹でもあるカナヲを攻撃しました。
レミリア・スカーレット
レミリア・スカーレット
見てたんじゃないの。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
あなた方が“危害を加えない”……その言葉に、信用することはできませんよ。私は今すぐにでも、あなた方を殺すことができます。
しのぶがレミリアに向けて、刃を向ける。
ほの刃を見て、レミリアは短くため息をつき、舌打ちをする。
レミリア・スカーレット
レミリア・スカーレット
……チッ、本当に癪に触る奴ね。
レミリアが肩をすくめ、鼻で笑った。
レミリア・スカーレット
レミリア・スカーレット
まぁ、別にいいわよ。お前なんかに信用されなくても。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
…………
レミリア・スカーレット
レミリア・スカーレット
…………
互いに睨み合う二人。その視線には殺意と怒りだけが込められていた。
竹の葉が風で鳴り、冷たい緊張だけがその場を包む。
胡蝶カナエ
胡蝶カナエ
あらあら、2人ともピリピリしちゃってる……
古明地さとり
古明地さとり
ハァ…また1からやり直し。あの2人は……犬猿の仲ですね。
カナエがさとりに聞くように話し、さとりは小声でつぶやいた。



ガサッ………
古明地さとり
古明地さとり
ん?
さとりが眉をひそめる。


グワアァァァ!!



風が吹き、草をかき分ける音が聞こえ、さとりが振り返った瞬間、人の三倍はあろうかという巨体を持った鬼が、獣のように唸り声を上げ、その鋭い牙をむき出しにしてレミリアとしのぶへと襲いかかる。その鬼は大口を開け2人を飲み込もうとしていた。
レミリアの紅い瞳が一瞬、細く光った。
レミリア・スカーレット
レミリア・スカーレット
!!…ハァ……鬱陶しいわね。
それに気づいたレミリアは驚きつつも、小さくため息をつき、めんどくさそうに呟く。
その声音が落ち着いているのが、かえって恐ろしい。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
あっ!?
しのぶはその巨体に慄きつつも、自身の刃に手をかけた。




ドドドドドガガガガガッ!!!







凄まじい衝撃と爆ぜる音。風が荒れ、竹が裂け、視界が白い閃光に包まれる。煙の向こうで、紅い翼が夜気を裂いた。

















突然の急襲!!_______


おまけ

「ちょっかい」
レミリアとしのぶが殺意増し増しの睨み合いしている中、カナヲと一瞬が目が合ったこいしはカナヲに近づき。
古明地こいし
古明地こいし
じーー……
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
………ん??
古明地こいし
古明地こいし
………ニィ……
ニコッ!
こいしがカナヲに笑顔を見せる。
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
…………???
カナヲは訳がわかんないまま、自分の指で少しだけ口角を上げる。
古明地こいし
古明地こいし
バーー!!
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
………???
古明地こいし
古明地こいし
えへへ……やっぱり見えてるんだー。
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
……うん……見えてるけど……何?
古明地こいし
古明地こいし
そっかぁ!何でもないよー!面白そうだっただけーー。
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
???
カナヲのこいしへの不思議が深まった瞬間であった。

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