第7話

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2024/06/15 11:00
サーシャはあなたの名前 (カタカナ推奨)の手を取るともう片方の手をあなたの名前 (カタカナ推奨)の腰を添え、優しく丁寧にエスコートした。

二階から階段を使って一階へ降り、丁度広間の中央へと移動する。

2人のダンスに興味があるのか、吹き抜けになっている二階の手すりから人々が覗いてくる。

そんな大勢の視線を感じながら、2人は目を合わせる。
その途端、ゆったりとしたワルツが流れ出す。

どちらともなく動き始めると、2人は美しく優雅に舞う。
あなたの名前 (カタカナ推奨)が華麗にくるりと廻る度に、ドレスの裾が広がる。
その様子は上から見るとまるで花が咲いているようで、人々は思わず感嘆の声を漏らした。
曲が終わり、2人の動きが静かに止まると辺りは拍手に包まれた。
(自分の娘がライバルである家の息子と踊ったなんて知ったら、父上はどんな顔をするのかしらね。)
踊り終わったと同時に、不安があなたの名前 (カタカナ推奨)の頭に立ち込めた。

そんなあなたの名前 (カタカナ推奨)の心中を感じ取ったのか、サーシャは握っていた手を少し強めてあなたの名前 (カタカナ推奨)の耳元で言った。
kzh「今夜、待ってるから。
その後舞踏会はお開きになり、あなたの名前 (カタカナ推奨)は自室に戻って服を着替えた。

いつもの普段着(と言ってもだいぶ豪華なドレス)を着ると、丁度執事があなたの名前 (カタカナ推奨)の部屋を訪ねた。
「お嬢様、ロウデ様がお呼びです。」

『…分かったわ。』
きっと叱られるのだろう、そう思いながら部屋へと向かう。
扉を開けると、奥の椅子にもたれ掛かってこちらをを睥睨してくる父が居た。
「お前、今日アレクサンドル・ラグーザと踊ったんだってな?」

『…はい、そうです。』

「何故だ。」

『………』

「何故アレクサンドルと踊った?お前と踊りたい輩など腐るほどいるであろう。
 …なんだ、それともお前裏切る気か?」

『いえ、そんなことは…』

「今後あいつと関わるのは控えろ。
 次はアレクサンドルだけでなく、お前の首まで飛ぶぞ。」

『…はい。分かりました。』

「あと、結婚相手はこちらで決めておくからな。」

『え、』

「それだけだ。じゃあ出ていけ。私は忙しい。」
そう言うとロウデはあなたの名前 (カタカナ推奨)を強制的に部屋から追い出した。
(次関わったら殺す、か…)


(…馬鹿みたい。)
あなたの名前 (カタカナ推奨)は自室の窓を開け、その細い腰から翼を出す。

そして、夜空へ飛び立った。


向かうはサーシャの元へと。

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