「藤永、お前またキーホルダー増えてね?」
「うん増やした」
「邪魔じゃね」
「かわいいじゃん」
隣のクラスの藤永咲哉君は、ちょっとだけ変わってることで有名だ。
いつも人に囲まれてて、鞄にはたくさんのかわいいキーホルダーと校則違反の派手なアクセサリー。色白で細くて大体四六時中パーカーを着ている。
そんな藤永咲哉君の事をなぜか気になってつい目で追ってしまう。
「廣瀬、移動教室早くいこ」
「うん」
クラスも違うし、接点もない。
人見知りだし自分から話しかけるなんてことできない。何となく気になるけど、このまま関わることなんてないだろうな。
と、思っていたけど。
「廣瀬遼くんだよね」
委員会の後、廊下を歩いていると突然呼び止められた。
「そう、やけど」
「付き合ってくれない?」
「はぃ?」
「付き合って欲しいんだけど」
俺と付き合って、と言い真っ直ぐこちらを見つめてくる。何これ、告白?なんで?脳内には、はてなマークが浮かび、何も言えず呆然としてしまう。
「廣瀬くん聞いてる?」
「聞いて、るけど」
「俺と付き合ってくれる?」
「ぇと…急だし、その、、、」
ずっと気になっていたし話してみたかった、なんなら友達になってみたかった。でもまさか告白されるなんて夢にも思わなくて。
「じゃあ友達になってよ」
「えっ、」
「俺のこと好きになってもらえるように頑張るし」
こうして、藤永君と友達になった。
一緒に帰ろうよという藤永君の言葉に断る理由もなく一緒に下校した。家の方向が同じだったようで、15分くらいは隣に並んで歩いた。でも、何を話したのかはもう覚えていない。ただ気まずい、そう思っていたことだけが記憶に残った。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!