どうやらきりやんの手術は上手くいったらしい
手術を受けると聞いてから数日後
看護師さんから伝えられた
今はリハビリを頑張ってるんだって
そう駄々をこねているのはシャケ
義手を使うのが難しいらしい
それを聞いて俺は苦笑し
スマイル あーあ、 とでも言っている
シャケはこれでも勝手ぐらいクソデカため息を残し
看護師に連れられてった
ふと、
スマイルの方へ向く
初めて会った時と変わらない
真っ白な肌
弱そうで細い身体
でも初めて会った時より
顔色が悪いし
頬も痩けてる
何故だろうか
"あのこと"を思い出した
そう。
俺が初めてスマイルと会って病気のことを
お互い、喋っていた時
nakamuはなんで入院してるの?
という問いに「馬鹿な心臓のせい」
と答えたら詳しく聞かれて
「動脈管開存症か?単心室症とかか?」
とやけに詳しく言っていて...
俺は、その時のことを思い出していた
スマイルは悲しそうに微笑んだ
俺は
としか言えなかった
少し暗い雰囲気にしてしまったが
1つ聞いて欲しいことを思い出した
誰にも言わず
俺だけで完結しようと思っていたが
俺は意を決して話した
きんときは....
と言おうとしたのに
急に苦しくなって
目に水の膜が貼ったように視界が揺らいだ
察してくれたのか
言葉の詰まった俺はこくりと頷いた
ワンテンポ遅れてスマイルも驚いた
そりゃそうだ
まだリハビリ中だし
手術終わって1週間も2週間もたった訳じゃない
そんな彼がいるのだ
きりやんは見慣れた車椅子を乗って
こっちに来た
なんか軽い口調で結構なことを言うから
少し戸惑ってしまった
にしても理由、萎えちゃうからって....
でも、
と心の中で強く否定してくる自分がいる
それは罪悪感
小さい時から一緒にいたきんときが
先に逝っちゃったのに
俺はのうのうと生きていていいのだろうか
なんで同じ心臓系の病なのに
俺は手術の手札があって
きんときにはないのだろう
きんときのほうが
生きてる価値があるんじゃないか?
そうやって、頭の中でぐるぐるする
確かにそうだった
生きたくないなんて生きてても意味がないなんて
思いたくないから強がってた
大人になれない事実が悲しくて
なんで俺なんだろうって
こんな沢山人がいるのに
なんで俺が病気になったんだろうって
俺は強くなったと思ってた
大人になれない事実を理解してるつもりだった
どうせ死ぬから
って強がって
傷つくのを避けていた
それだけ言われてもまだ葛藤していた
手術しようがどうせ死ぬ
きっと働くことはできない
ただ大人になれるだけ
大人になったとして
寿命が伸びたとして
俺は何ができるんだろう
俺が手術を受けて
成功して大人になって幸せに暮らしてても
きっと、許してくれる
あのきんときなら
あのぶるーくなら
ここの皆なら
むしろ喜んでくれる
失敗して死んじゃっても
きんとき達のところに行くだけだから
それはそれでいいかって
そう思った
だから決心が着いた
決めることができた












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!