直side
俺は、病院へと歩を進めていた。
一体の神“R”について、思考を巡らせながら。
ここ数周で、姿を見ていない。
前々から兆候はあったのだが……。
俺はそう思いながら歩いていると、ちょうど十字路に着いた。
ここを右に曲がれば、病院はすぐに顔を出す。
…と言っても、5分くらいは歩く距離だが。
俺は角を右に曲がり、まっすぐ歩く。
………何だろうか…この胸騒ぎは…。
良いことと悪いことが同時に起きそうな……。
心の中ではそう感じても、言葉にする術を、俺は持ち合わせていなかった。
そんな事を考えていると、病院に到着した。
病院の目の前では、三人の青年が何かを話していた。
病院はある意味で安らぎの場所だ。
ああいう風な集団の会話があったっておかしくない。
その時、一人の青年に目が留まる。
そいつは見覚えのある奴だった。
黒いスーツを身に纏っていたり、背丈が大きくなっている等の違いはあるものの、彼は間違いなく、
俺が魔物狩りに真剣だった頃、よく共に行動していた青年、飯塚大魚だったのだ。
大魚は俺に駆け寄ってくる。
よく見れば、顔の所々に古傷の跡が残っている。
相当な修羅場を潜り抜けてきたのだろうか、その傷を見ると彼が直面した地獄の情景が脳裏に浮かぶ。
彼に続いて、一緒にいた二人の青年が近づいてくる。
見覚えはあるのだが、記憶が曖昧なせいで、はっきりと思い出せない。
十川は、軽く会釈するだけだった。
……若干、警戒されているな
莉紅の方は、全く警戒していない感じだった。
むしろ、楽しんでいるような………、
俺はそう心の中で思った。
彼はさぞ興味のなさそうな口調で言う。
そういえば、今思い出したが、確か十川はこんな性格ではなかったはずなのだが……。
もう少し…マイルドな気がしたのだが…。
その時、彼の首元で何かがキラリと光った。
それは紛れもなく、あのネックレスだった。
俺は小さな声で納得する。
とりあえず、今必要なのは………、
“なるべく早く、彼を殺さないといけない”という事だな。
莉紅がそう聞いてくる。
莉紅は、興味があるのかないのかわからない、気の抜けた相槌を打つ。
瑠偉がとてつもなく小さな声で何かを呟く。
俺の質問に対して、彼は平静を装い、そう答える。
俺は十川と日野原の方を見ながら言う。
それぞれが頷く。
俺は真依の店の方に向けて歩き出した。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。