第42話

伝心
8
2024/03/27 14:20

いふ side

〜その日の夜、精堂家宅にて〜


ほとけ
ほとけ
自分の思いをちゃんと伝えないと、相手に届くわけないじゃん
ほとけ
ほとけ
お兄ちゃんだからって、無理しなくていいんだよ


いふ
いふ

…そうだよな。ほとけの言う通り。
俺は今まで、ずっと一人で、自分の言いたいことも言わずにやってきた。
それがきっと、駄目だった。
優音を気遣ってやっていたことが、結果として優音を傷つけてしまった。
伝えるなら、今。

優音
優音
た、ただいま!
いふ
いふ
…!
いふ
いふ
優音おかえり
いふ
いふ
その、ちょっと話し合いたいんやけど…時間いい?
優音
優音
あ、うん、…その、私も実は、兄さんに言いたいことがあって…
いふ
いふ
え?

🎲💙
どんなこと、言われるんやろ…。

いふ
いふ
わかった、とりあえず座ろっか。
優音
優音
うん

優音が荷物を置いたのを確認して、2人同じタイミングで席につく。

優音
優音
…まず、私からいい?
いふ
いふ
ん、ええよ
優音
優音
…いつも思うの。兄さん、一人で頑張りすぎって。
優音
優音
私、気付いてるんだよ?
兄さんがこれまでずっと誰にも頼らずやってきたこと。
優音
優音
誰よりも近くで、見てきたから。
いふ
いふ
…!
いふ
いふ
…うん。
優音
優音
気付いてたのに手を差し伸べなかった私も悪いけど、
でも兄さんもなんで助けを求めないの!?
優音
優音
そんなに溜め込んでたって、兄さんが辛くなるだけなのに!
優音
優音
どうして兄さんは、一人になる方へ進んでいっちゃうの!?
優音
優音
あのときだって!!
いふ
いふ
ッ、優音。
優音
優音
…あ、ごめん…。
優音
優音
と、とにかく!
優音
優音
お願いだから、もっと私達を…私を、頼って。
いふ
いふ
…ええの?
優音
優音
もちろん!
優音
優音
どんなに迷惑かけたって、心配かけたっていいの。
優音
優音
ただ、私は、兄さんに辛い思いをしてほしくないだけだから…。
いふ
いふ
…!!
いふ
いふ
…そっか、そうなのか…。

そうじゃん、ほとけも言ってたじゃん。
俺のことを一番近くで見てくれてるのは、優音なんだ。
そんな優音が、俺を気にかけて、俺のために怒ってくれてる。
自分の思いを、必死に伝えてくれてる。
それなら俺も、優音の気持ちに応えなきゃ。

いふ
いふ
…俺の思いも、言わせてもらうな。
いふ
いふ
…俺は、

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