放課後の美術室。
誰もいない教室の中、私のスケッチブックには――黒い触手に包まれた骸骨が描かれていた。
彼の名は、ナイトメア・サンズ。
AU界きっての“ヴィラン”であり、“闇の帝王”。
けれど私にとっては、英雄そのものだった。
彼がいたから、ヒーローが存在する。
彼が“闇”を選んだからこそ、光が映える。
その存在自体が、世界の対比を美しく保っている――
あなたは筆を握りながら
住人に虐げられ、金のリンゴを守れると証明しようと手を伸ばした。
でも、金のリンゴは黒に変わり、怒り狂った住人たちに命を狙われた。
そのとき彼は、最後の選択として黒のリンゴを食べた。
そして――闇に堕ちた。
強くて、イケメンで、大人で、孤独で、哀しくて、尊くて、
存在そのものが“メア様”であること、“最も邪悪なサンズ”なんて言われてるけど、
彼は、闇を背負って立ち続ける英雄なんだよ。
そんな彼を、私は――
─その瞬間、空間が歪んだ。
ピキィィ……ッ!!
空間が軋む音がして、床が崩れた。
まるで絵の具を流したように現実がぐにゃりと溶けて、
私の身体は、宙へと吸い込まれていった。
そこで私の意識は途絶えた
気がついた時、私は金色の空の下で、草の上に倒れていた。
そして――
ドリームの目が、まっすぐに私を見てくる。
読まれてる。絶対心、読まれてる。
そこへ、茶色のスカーフが風にひるがえり、色彩が弾けたように現れたスケルトン。
黄色いシャツ、サスペンダー、青いパーカーを腰に巻き、チーター柄スニーカー、背中には大きな筆。
目は瞬きのたびに形も色も変わる。
これが――Ink。
そしてさらに、元気いっぱいのちびスケルトンが駆け寄ってきた。
なんだかふと口をついて出た言葉
その言葉に、ドリームの表情が曇る。
そのとき、空が裂けた。
黒い触手が空を覆い、強烈な“闇”が現れる。
そして、彼が、姿を現した。
その姿は、恐ろしくも美しい。
闇の王にして、英雄。
そして、私の“推し"
【続く】












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!