裕也side
「マジで、あなたって意外と勉強真面目だよな。」
そう言いながら笑うと、あなたはちょっとむくれた顔で「失礼だなぁ」と返してくる。
でも、その表情がまたかわいくて、つい笑ってしまう。
あなたの部屋。
小さい頃から何度も来たけど、最近は少し様子が違う気がする。
机の上には香りのいいハンドクリーム、壁には写真やアクセ。
――“女の子の部屋”って感じ。
それに気づいてから、なんとなく落ち着かない。
あなたが問題を解いてる間、つい視線が彼女の横顔に向かう。
長く伸びたまつげ、鉛筆をくわえて考え込む癖、ほんのり桜色の頬。
(やばい、集中しろ、俺。)
そう思っていたその時――
ポトン。
床に消しゴムが転がる音。
反射的に手を伸ばしたら、あなたの手とぶつかった。
重なった瞬間、時間が止まった気がした。
小さい手、あったかい。
ただそれだけなのに、心臓が一気に跳ねた。
「……ご、ごめん。」
慌てて手を引っ込めたけど、鼓動の速さはどうにもならない。
あなたは、少し恥ずかしそうに笑って「ありがとう」って言った。
その笑顔を見た瞬間、
――“あぁ、俺、たぶんもう完全に落ちてる。”
って、はっきり気づいた。
ただの幼なじみなんかじゃなくて。
隣で笑ってるあなたを、これからは女の子として見てしまうんだろうなって。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。