ひとまず、すぐに帰る。と言って電話を切り
再び鏡花の方を向いた。
その瞬間、何かが私の肩に乗った。
そしてすやすやと聞こえる寝音。
どうやら、鏡花は寝てしまったようだ。
疲労も溜まっていたのかもしれない
そう言って鏡花の頭を撫でる。
仕方がない、と、敦と鏡花を抱えて歩き出す
目的地はもちろん武装探偵社。
鏡花が光の方へ戻る糸口は、
きっと武装探偵社にある筈だ。
そうして、暫く二人を担いで歩いていると、
すれ違った男に声を掛けられた。
そう言って通り過ぎようとすると、
ガッと腕を掴まれる
右手で敦を肩の上に乗っけて担ぐ…いわば
ファイヤーマンズキャリーの形で担ぎ、
鏡花を左手で抱き上げていた為、
右手を掴まれ、意識のない敦があなたにしがみつける筈も無く、地面に落ちてしまった。
男の手を振りほどき、落ちた敦に近寄る
すると、男もこちらに近寄り、
再びあなたの右手を掴んだ。
性懲りも無くそう言ってくる男を睨みつける
人目を避けて来たため、この辺には人が居ない。
この男もやりたい放題だ。
あなたは鏡花を抱えたまま、
じりじりと寄ってくる男に後ずさりをした
ついに壁に追い詰められ、
逃げられなくなってしまった。
そう言って鏡花に手を伸ばす
その瞬間、ビュンッと空を切り裂く音が聞こえ、
男に強烈な蹴りが入った。
勿論蹴ったのは、あなただ。
男は蹴られた腹の痛みに悶絶している。
そうして敦の方に歩いて行くと
後ろから「おい」と、先程の男の声が聞こえた
そう言って殴りかかってきた。
あなたは向かってくる拳に目を瞑る
しかし、その拳があなたに当たる事は無かった。
あなたは、少しずつ目を開ける。
あなたの目に映ったのは、
男の拳を虎の手で止める、敦だった。
男はそう叫びながら逃げていった。
先程男の拳を止めていたときの表情とは
打って変わって、嬉しそうな顔でこちらを見る敦
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!