第27話

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2023/12/06 15:42
ひとまず、すぐに帰る。と言って電話を切り
再び鏡花の方を向いた。
あなた
鏡花。
すまないが野暮用が入ってしまった
彼を…
その瞬間、何かが私の肩に乗った。


そしてすやすやと聞こえる寝音。


どうやら、鏡花は寝てしまったようだ。
疲労も溜まっていたのかもしれない
あなた
…無理をさせてしまったな
そう言って鏡花の頭を撫でる。
仕方がない、と、敦と鏡花を抱えて歩き出す
目的地はもちろん武装探偵社。
鏡花が光の方へ戻る糸口は、
きっと武装探偵社にある筈だ。
そうして、暫く二人を担いで歩いていると、
すれ違った男に声を掛けられた。
男性
ねぇねぇ綺麗なお姉さん、
俺と遊ばない?
あなた
…怪我人を背負ってるのが見えないのか?
それに急いでるんだ。そんな暇は無い
そう言って通り過ぎようとすると、
ガッと腕を掴まれる
あなた
ッ!!
右手で敦を肩の上に乗っけて担ぐ…いわば
ファイヤーマンズキャリーの形で担ぎ、
鏡花を左手で抱き上げていた為、
右手を掴まれ、意識のない敦があなたにしがみつける筈も無く、地面に落ちてしまった。
あなた
敦くん…ッ!!
男の手を振りほどき、落ちた敦に近寄る
すると、男もこちらに近寄り、
再びあなたの右手を掴んだ。
男性
そんなガキ共放って、俺と楽しい事しよ?
性懲りも無くそう言ってくる男を睨みつける
男性
そんな顔しても可愛いだけだよ?
あなた
ッ触るな!!
人目を避けて来たため、この辺には人が居ない。
この男もやりたい放題だ。
あなたは鏡花を抱えたまま、
じりじりと寄ってくる男に後ずさりをした
ついに壁に追い詰められ、
逃げられなくなってしまった。
あなた
(…異能力で眠らすか?
いや…だが手足が動かなくなったり目が見えなくなったら二人を探偵社まで運べなくなってしまう)
男性
その子降ろしなよ 
今から二人で楽しい事するんだからさ
そう言って鏡花に手を伸ばす
その瞬間、ビュンッと空を切り裂く音が聞こえ、
男に強烈な蹴りが入った。
勿論蹴ったのは、あなただ。
あなた
鏡花に触るな
男は蹴られた腹の痛みに悶絶している。
あなた
(…これで流石にもう寄ってこないか)
そうして敦の方に歩いて行くと
後ろから「おい」と、先程の男の声が聞こえた
男性
てめぇよくもやってくれたな…!!
女のくせに…!!
男性
その綺麗な顔面グチャグチャにしてやるよ!!!
そう言って殴りかかってきた。
あなたは向かってくる拳に目を瞑る
しかし、その拳があなたに当たる事は無かった。
あなたは、少しずつ目を開ける。
あなた
…!
あなたの目に映ったのは、
男の拳を虎の手で止める、敦だった。
中島敦
貴方…この方に何しようとしてるんですか?
男性
ヒッ……!?
化け物…化け物ーーー!!!
男はそう叫びながら逃げていった。
中島敦
あなたさん…ですよね!
先程男の拳を止めていたときの表情とは
打って変わって、嬉しそうな顔でこちらを見る敦
あなた
あ、あぁ…覚えていてくれたのか
中島敦
当たり前じゃないですか!
三度も命を救ってもらってるんですから!
作者
作者
ここで切りまーす
作者
作者
次回、敦視点
作者
作者
尚、このナンパクソ男は、芥川くんの
羅生門が美味しく頂きました(?)
作者
作者
バイハム〜

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