一瞬にして凍りついたように動きを止めて
シーンと静まり返った大きなミーティングルーム
表情だけは統一されてて
そこに居た人達は皆、驚いて
視線の先が同じ所に向いてた
ただ1人を除いては。
ピクりと体が反応した
彼が私の名を口にしたことで
ほんのちょっとの懐かしさと
大半は "まずい" と言う焦りから
凍りついてたうちの1人が動き出したことで
現場の空気がガラリと変わった
まずは自分に巻き付いてるものを剥がさなきゃ!
全力でグクの胸板を押してみる
私の全力はグクには微力だったようで
全然びくともしない
なんなら グクの放った言葉にキュンとして
顔を赤らめてしまった自分…
グクが離れないなら
今、目の前で起きている事実だけは否定しておこうと
羽交い締めみたいに締め付けられてる
彼の腕の隙間から周囲の人に向けて
全力で否定してみるけど
無理だった。
何故か親友の目がキラキラと輝いて見える
絶対、好奇心から楽しんでるやつ…
もう仕方ないって どうにでもなれって
とにかくこの状況だけ脱したくて
彼の名を呼んでしまった
彼の名を口にしてしまったら
2人で過ごした愛おしかった日々が思い出されそうで…
この3ヶ月間、考えないように
間違えても口に出さないようにしていたのに…
もう 今日は本当に最悪な日だ
きっと罵られて罵倒されて…
そう思って覚悟を決めて来たのに
とんでもなく検討違いだったようで
良いのか悪いのか変にホッとしたけど
自分の決意が受理されてなかった上に
事の発端が目の前に居る状況で
あの時の決意を揺るがしてはいけないって
私も意固地になる
周りに私と彼以外の人がいるなかで
今、こんな話をするのはどうかと思うけども
もう今しかないし 結果的に別れるならいいやって
ここで決着をつけるべく
なぜ私があんな手紙を残して去ったのか
説明しなきゃ納得してもらえないんだなって悟った
やっとグクの腕の力が緩んだ
今日はちゃんと言おう
ちゃんと目を見て…
数ヶ月ぶりに見た彼の目は
悲しそうに驚いてた

















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。