ある夏の日
この日は1学期最後
いつもと変わらず同じ時間に起きて学校に行く
もうすぐアイツが迎えに来る頃
ピンポーン
そ、こいつがアイツでありパクチソン
同じマンションに住む幼馴染
中学までは当たり前に毎日一緒に登下校
その関係もそれまでだと思ってたけど気付けば高校も一緒だった
この人が毎日なぜか迎えに来るのが習慣化
私はチソンのことはまぁ友達?というか切っても切れない縁っていうか
それこそ友達以上恋人未満っていうやつだと思う
私から見てチソンはとにかくデカい
あとはビビりというか小心者で見たことないもの見ると汚いもの触るような感じで触り始める
でも喋り方は男子みたいな感じ
いつも一緒に居過ぎて、お互いの分かることも分からなくなってくる
他で言えば、なんでも1人で解決しようしがち
でもそこは私も一緒でお互い自分を見てる感覚にあるから
そういう時はためらわずに何があったか聞ける
それで私はチソンの号泣を見てきたか…
まぁ女子にも人気で私は何度も“そういう女子”に呼ばれて暴言を言われる日々
言われ過ぎて慣れたしだからなにっていう話
当の本人、チソンもその事は知ってて少しは気にしてくれる
玄関の扉を開けると扉に背を向けて座っているチソンが居た
こいつのこういう所私しか知らないからみんなに知られたらどうなるんだろう
(学校では愛想を振りまく白王子で有名)
こんな感じに仲悪いようで良いです
でもなんでもチソンのこと知ってるはずの私が今日
こいつとの人生が変わるとは思いもしなかった
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放課後
今日もアイツが部活が終わるまで図書室で勉強をして待ってる
いつもなら18時過ぎに終わるはずなのに今日は17時に図書館にチソンが来た
チソンが寄りたいところがあるなんて珍しい
普段ならさっさと帰るのに
そんなことを考えながら机に広げたままの教科書たちを鞄にしまう
学校を出てチソンの寄り道に着いて行く
これまた珍しく部活以外の何かに必死なチソンを初めて見る
服屋に着いてチソンが早々に何かを探し始めた
きっと好きな子にあげる物なのかもしれないと察したから大人しく店の外で待つ
ー店の外で待つあなたの独り言ー
聞いたことないけど
過小評価し過ぎのあなた
年頃をの男の子だし好きな子ぐらい居るでしょとも思いながら
待つこと30分
やっとチソンが戻ってきた
しっかり聞きました
クールな顔をしながらごまかすチソン
マンションについて私の家の前で
差し出されたのはなんと今日チソンがさっき買ったもの
袋を押し付けられる
あなた、思考回路停止中
はい、しっかり忘れてました
袋を開けてみると本当に私が欲しかった服が入ってる
しかも2枚
ぺ、ペアルックですか…?
いやいやいや
カップルでもないのにこういうのはないでしょ
付き合ってないし…
私のこと好き…?
いやないない
いつもの態度からしてそんな感じなかった
ストレート!!!
しかもチソンのやつ全く照れてない!
ちょっと意味分からないです
チソンが何を考えるの
脳内部活しかないくせに
自分可愛くないな
心配してくれてたのは知ってたし、うれしかった
でもそれが理由はなんか嬉しくない
チソンのまっすぐに私を見ている
それだけで真剣なんだってことが伝わってくる
でもそんなに私が弱いとは自分でも思えない
そこまで考えてたとは…
私に気付かれないようにすごい悩んでたんだろうな
今までチソンのことイケメンとかカッコいいって思ったことなかったけど
今のチソンは超かっこいい
マジで惚れてもいいんじゃないかって考えてしまう
でもチソンがずっと隣に居るから安心することの方が多い
正直チソンがいない生活は考えられないし考えたくない
チソンが居てこそ、私の人生だって思ってた
これって好きなんだろうか
多分ここで振ったらこの先後悔する
後々好きだったんだなって気付いても遅い
チソンがすごい嬉しそうな顔をしてる
とうとう友達から恋人
今までありえないって思ってたことが実現した
今まで見たことがないぐらい優しい顔をしているチソン
急に手を引っ張られて抱きしめられる
チソンの体温が直に伝わってくる真夏の夜
きっとこの先1番忘れられない日になる
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。