コンコンコン。
ドアがノックされる。
今は誰にも入ってきてほしくないのに
どうしてこうも分が悪いものか。
まぁ、おそらく。というか、この部屋を訪れるのは
一人しかいないので、特に恨み用もないのだけれど
ダメだ、ハーレン。
我は、そんなに優れた補佐ではない。
ハーレンを、キングを、ダメな王様にさせ
プレッシャーを与えているのは
我だというのに、情けない。
ギルくんは無駄…変に真面目な所があるから
冷淡な性格でも怖くない。
そもそも、昔のギルくんを知ってるし
怖がる必要も無い。
ギルくんは、今はこんなんだけど
心優しくてとても愛嬌のあるいい子なのだ。
…今は、多分そういう時期なのだろう。
ハーレンはもう少しギルくんに気を回しても
いいんじゃないかと思うほど冷たい。
何でだろうな、昔は一緒によく遊んでて
ギルくんもハーレンに懐いてたのに。
時の流れとは、時に残酷だ。
たった数十年で、人はここまで変わるものか。
我は、いつか見限られてしまうんじゃないか?
ハーレンは補佐なんて要らない程強い
たった一人で、妖精王の森と仲間達を護り
森へ侵入する人間に恐怖を与えた
こんなに可愛らしい見た目をしているのに
本当に強い王様だ。
いつかきっと、我は傍に居られなくなる。
否、要らなくなる。
ハーレンは、一人でも生きていける。
立派な王様なのだから。
そう言うと、ハーレンは神器である
霊槍シャスティフォルを第一形態の形に変え
その上に寝そべるように座ると
窓からどこかへ飛び出して行ってしまった。
まぁいいか。
すぐ帰ってくるだろうと思い、我は少し
昼寝でもするかと、ソファに寝っ転がり
目を瞑ったとき、ギルくんが顔を覗き込み
話しかけてきた。
ハーレンが気にするなと言われたら
基本気にしない主義だが
今回については、別にハーレンのことで
何か騒いでた訳ではなさそうなので
干渉しても許されると思い、追及した。
単純に、なんの話だったかも気になるし
ハーレン関連なら、我は無闇に知ろうとしない
ハーレンのことを信頼しているから。
だが、今回は別にハーレン個人のことでなく
あくまでハーレンが属している騎士団
〈七つの大罪〉についてのことだ
これについては、別に
心を読んでも許されるだろう。
ギルくんには悪いが、我はハーレン以外
特に興味もないし、気にしない。
どれだけ有力な情報でも、全く覚えもしない。
それほど、我にとってどうでもいいのだ
他人のことなんて、どうでも。
薄情かもしれないけど、こういうことは
あまり干渉して欲しいことでもないだろう。
だから無闇に話題に出さない
何も気にすることもない。
なぁんだ、ハーレンも可愛い所あるじゃん
ハーレンはあまり表に出さないだけで
〈七つの大罪〉の団員…特にディアのことが
大好きだ。ディアに関しては
別の意味で好意を寄せているのは見れば分かる
嫌という程、ハーレンは分かりやすい。
でも、我のことなんて眼中にさえあればいい。
それで我は満足なのだ。
ギルくんはまるで“悪者”かのように
薄気味悪く笑った。
ハーレンがギルくん達_聖騎士達が助かる。
つまり、聖騎士達が良がることを
協力。もしくは進んでやっているのだろう。
ただ、その“良がること”が何かによって
色々変わってくる。
けれど、〈七つの大罪〉に会いに行ったことに
関連があるのなら……
時々寝言に上がってくる「彼」の名前。
その名を呼ぶハーレンは、とても苦しそうで
何かを恨んでいるようなトーンで、ただ只管に
彼を呼んでいた。
そのことに気づいてはいたが、何故。
というのは、考えてなかった。
……いや、考えないようにしていた。
もし、ハーレンが本気でそう思ってるなら
我が弁護しなければ、納得してくれない。
そもそも、彼はそのことに
否定をすることもYESと答えることもないだろう。
だから誤解を招くのだと、あれほど教えたのに。
「誰か」の為に、自分と相手を傷つけないで。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。