夢小説の、主人公みたいになりたかった。
人の様々な負の感情から生まれる呪い、呪霊。
それらを視認し祓う力を持って私は生まれた。
狗巻の相伝術式は呪言。
言霊を基本とし、言葉に呪力をのせ、相手を命令のままにする力。
それに対して、私の術式は人魚姫。
音に呪力をのせ、詩として現実に反映させる。
広範囲攻撃系の術式だ。
でも、
私は呪力が少なく、術式を満足に使うことが出来なかった
そこからはもう、分かると思う
バシッ!!!
ぐるぐる
もやもや
どろどろ
ぐちゃぐちゃ
パキリ
ある日を境に、何にも感じなくなくなった
ある日は、痛覚が消えた
ある日は、味覚が消えた
ある日は、表情が消えた
ある日は、心が消えた
ある日は、自分が消えた
五条家当主様の優しいお言葉を頂いても、
なにも感じなかった。
ただ、命令に従うだけ。
それから私は、“黒兎あなた”と名乗った
スラスラ
ジーーーーーーーーーーーー
後ろの席の黒兎さんを見る
なんだかよくわかんないけど












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!