第67話

五十四話 『桃色は別れと出逢いの色』
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2025/01/19 20:00 更新
🌸
「はぁ〜あ〜」
俺は今、お店のカウンターで店番をしながら一人項垂れていた。
入学式が終わりお昼に帰ってきてすぐお店のお手伝いを始めたのだ。入学式という祝い事には花は欠かせないからか花屋は大忙しなのである。主に両親が。

別にそれに文句はない。無いのだが、クラス割りに関して俺は物申したい。

なんで俺はいつも葵と離れてしまうんや!!
そこはさぁ、察してくれよ。同じクラスにしてくれよ。俺元は陰キャなの。
自分から人に話しかけるとか無理よ?泣くよ?

はぁ……。
またもため息を吐きそうになった時、カウンターに突っ伏している耳元でコンコンとカウンターを叩く音が聞こえた。
ムクリと起き上がる。
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「いらっしゃいませ」
「学校はどうだった?」
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「すごぉく楽しみ」
「真顔で言う?」
ゴツンと額をカウンターに押付けてまた突っ伏した。
🌸
「んーー絶対友達出来ない」
「まぁまだこれからじゃん」
腕の隙間からアルケーさんを見上げるとニッと笑いかけてくる。あぁ、イケメンである。
このイケメンがしのさんやらかなめさんやらと隣にいる時はとんでも厨二病に変身するのだから人間って怖い。
🌸
「そうですね……。あ、そういえば今日はなにか花を買いにきたんですよね?」
「あぁ、うん。花屋に来たし花は買う」
🌸
「まいどー。どんな花?」
「ちゃんと花言葉調べてきたんだぜ。桃色のカーネーションで」
🌸
「了解」
カーネーションといえば母の日を思い浮かべるが、4月から6月に咲く花で案外日持ちも良くて飾るのにはおすすめだ。
🌸
「どこかに飾るんですか?それともガールフレンドにプレゼント?」
「……今月はちょっと……お墓参りかな」
カーネーションを包む手が一瞬止まってしまったが平常心を装って無理に手を動かした。
アルケーさんも身近な人が誰か亡くなっているのだろうか。
でも、お墓に供える花をここで買ってくれて嬉しい。
俺は包んだカーネーションをアルケーさんに渡しながら口を開く。
🌸
「お花、ここで買ってくれてありがとうございます。最近はお墓には造花を供える人が多いじゃないですか。安いし手入れをする必要が無いから造花の方がいいんだろうけど、やっぱり本物の方が……ね」
「そうだな。包んでくれてありがとう。また来るな」
ポンッと俺の頭に手を置くと、花屋を出て行った。
その後ろ姿を見ながらそういえばと思い出す。
🌸
「そういやそろそろ俺も命日か……」
生きてるのに命日ってなんだか変な気分だ。
頭を降って飲み物を飲もうと一度2階に上がる。
リビングを覗くと胡羽季と舞蝶がそろってテレビを見ている後ろ姿が見えた。
近づいてテレビを見るとそこにはスーツ姿の甲斐幸也選手が映っていた。これはもう見るしかなく、双子が座る後ろで立ち止まる。

そうして甲斐選手が放った次の言葉に俺は泡を吹き出して死ぬのである。
甲斐 幸也
『私甲斐幸也は、今シーズンを持ちまして現役を引退します』
 
今日が俺の二度目の命日である。
 
あっかりんとう
中一は色々ある時期なんですよ。

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