第27話

第弍拾弍章
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2024/07/27 13:00 更新
【九十九山・渓流】
巳羽瀬 詩葉
「……着いた」
時間が経っているせいか、事件が起きたとは思えない程普通に戻っていた。
神楽
「此処がその場所だね?葉月」
尾上葉月
「ああ、そう聞いてる」
巳羽瀬 詩葉
「私、周り見てくる!」
走り出そうとした私の右腕をぱしりっと神楽が取る。
神楽
「詩葉、ちょっと待って」
神楽
「一人じゃ危険だ、ボクも行く」
尾上葉月
「それが良い、他の二人はちょっと借りるよ」
しれっと借りられている月吉と藍羅さん。
とはいえ神楽が着いて来てくれるのはありがたいので、是非着いて来てもらう事にした。
巳羽瀬 詩葉
「……水が綺麗」
神楽
「相手は腐っても神だ」
神楽
「そういう所は一応調整してるのかもね」
神楽の髪が揺れる。
巳羽瀬 詩葉
「……神楽、私姉様を助けたいよ」
巳羽瀬 詩葉
「遺体って、残ってるかな」
ポロリと口から漏れた言葉は解けた。
神楽
「……あのねぇ、詩葉」
神楽
「死んでるかも分からないのに、勝手に死んだなんて思っちゃいけないよ」
神楽
「見てないんだろ?なら、生きてるって思えば良いさ」
頭にポスっと掌が乗せられ、左右に動かされる。
神楽
「ボクと君は違う、生きてるって、まだ思える状況じゃないか」
巳羽瀬 詩葉
「神楽……」
なんだか含みのある言い方だ。
まるで、自分は相手が死んでしまっていると分かる状況を見た様な。
神楽
「助けてあげてよ、君のお姉さんを」
神楽
「勿論、ボクらも手伝うからさ」
困った様に笑う彼の瞳は相変わらず夕焼けの色だった。
尾上葉月
「さーて……どうするか」
巳羽瀬 詩葉
「葉月?」
私達が戻って来ると葉月は腰に手を当てて唸っていた。
尾上葉月
「詩葉、神楽おかえり」
ひらひらと手を振る葉月。
巳羽瀬 詩葉
「どうしたの、悩み事?」
尾上葉月
「あー……いや、悩み事っつーかさ」
右手の人差し指を曲げてとある方向へと向ける葉月。
指が向けられたのは私達が先程行った方向とは逆の上流へと向かう道だった。
尾上葉月
「こっち、なんか怪しいんだよね」
尾上葉月
「隠蔽の術式と結界が張られてる」
巳羽瀬 詩葉
「え?」
神楽
「月吉と藍羅は?」
尾上葉月
「上流偵察、そろそろ戻って来ると思う」
その時、微かに地面が揺れた。
巳羽瀬 詩葉
「…今、揺れた?」
神楽
「地震かな?びっくりしたね」
尾上葉月
「あ、戻ってきた」
そのタイミングで葉月が上流を見る。
蛎屋藍羅
「お嬢、神楽様!」
八角 月吉
「詩葉、神楽様、避けて!!」
巳羽瀬 詩葉
「避け……え?」
神楽
「詩葉、左右に散開!!」
藍羅さんと月吉、そして神楽の声で私は右に散開する。
神楽は逆に左へと散開する。
刹那その間を濁流が突き通ってゆく。
巳羽瀬 詩葉
「あっぶな……!?」
神楽
「わざわざ其方からおいでなすったか……!」
巳羽瀬 詩葉
「じゃあ、この濁流って……!?」
神楽
「蛇神だ!」
神楽
「気を抜くなよ、詩葉ッ!」
いつも静かな筈の九十九山が今日はやけに騒がしく感じる
木々がざわめいて、来客を知らせた
巳羽瀬 琴葉
(一体、こんな所に誰が……?)
??
コトハ
巳羽瀬 琴葉
「!」
??
ワタシがミテくるヨ
??
オトナシク、マッテイテ
巳羽瀬 琴葉
「っ……はい」
そういうと“蛇神”様はその場を去った
その数分後、私は驚愕した
蛇神様の術の余韻に混じって、懐かしい妖力が私の元へ届いた
巳羽瀬 琴葉
「ああ……来てくれたんだ」
巳羽瀬 琴葉
「“詩葉”」
【to be continued】
初投稿)2024 7/27(土)22:00

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