【九十九山・渓流】
時間が経っているせいか、事件が起きたとは思えない程普通に戻っていた。
走り出そうとした私の右腕をぱしりっと神楽が取る。
しれっと借りられている月吉と藍羅さん。
とはいえ神楽が着いて来てくれるのはありがたいので、是非着いて来てもらう事にした。
神楽の髪が揺れる。
ポロリと口から漏れた言葉は解けた。
頭にポスっと掌が乗せられ、左右に動かされる。
なんだか含みのある言い方だ。
まるで、自分は相手が死んでしまっていると分かる状況を見た様な。
困った様に笑う彼の瞳は相変わらず夕焼けの色だった。
私達が戻って来ると葉月は腰に手を当てて唸っていた。
ひらひらと手を振る葉月。
右手の人差し指を曲げてとある方向へと向ける葉月。
指が向けられたのは私達が先程行った方向とは逆の上流へと向かう道だった。
その時、微かに地面が揺れた。
そのタイミングで葉月が上流を見る。
藍羅さんと月吉、そして神楽の声で私は右に散開する。
神楽は逆に左へと散開する。
刹那その間を濁流が突き通ってゆく。
いつも静かな筈の九十九山が今日はやけに騒がしく感じる
木々がざわめいて、来客を知らせた
そういうと“蛇神”様はその場を去った
その数分後、私は驚愕した
蛇神様の術の余韻に混じって、懐かしい妖力が私の元へ届いた
【to be continued】
初投稿)2024 7/27(土)22:00











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。