アキラのPCから流れた私そっくりの
声に耳を疑った
私のコピー、その単語を
頭の中で何度も繰り返してようやく理解した
この音声、コピーされた私が
私の本当の思いを伝えてくれるんだ、と
そんなお兄ちゃんたちに言葉を紡ぐ
私の声はコピーなのにも関わらず
泣き出しそうに震えていた
そして、ヒーローへ思いを伝えた時
最後まで聞かなくてもすぐにわかった
私が泣いているんだと
コピーであっても、私は私なのか
感情があるみたいで、鼻を啜る声が微かに聞こえた
私がそういうと、イッテツは泣いていた
奏斗も雲雀も、アキラもセラも前から泣いていた
兄である叶と葛葉だって声を殺して泣いていた
みんなの泣いている姿をみると
こんなにも自分は愛されていたんだって
強く思い知らされる
最後には、泣いていた声も収まって
明るい声色になっていた
さよなら、の一言でぶつと
機会の切れる音が聞こえる
みんなに愛されていて、もっと最初から
みんなに思いを伝えてればよかったと思った
こんな状況じゃなくて、ちゃんと対面で
恥ずかしさとかも全部捨てて、素の私で
思いを伝えてればよかったなって....
それから、イッテツたちは
他のヒーローにも音声を聴かせていた
すると、他のヒーローもイッテツ同様
沢山泣いていた、私を思って泣いてくれていた
葬式の時になる頃にはみんな
思い詰めた表情なんてしていなくて
私の言った通り、自分を責めていないようだった
棺に入っている私に向かって
頬を濡らしながら尋ねてきた最愛の人
思い返したら、奏斗が想いを伝えてくれた時
お付き合いしとけばよかったなって後悔する
私も好きだけど付き合えない、なんて
中途半端な言葉じゃなくて、ちゃんと
奏斗と付き合えたらこんな苦しい
思いは奏斗もしなかったはずなのに
奏斗の顔は今までに見たことのない
悲しげな顔で、それをみた雲雀も
驚いていた
雲雀も奏斗と同じ見たことのない
悲しい顔をしていて、泣きじゃくっていた
私の葬式が終わって数ヶ月したころ
私のお墓には奏斗たちもイッテツたちも
お兄ちゃんたちもきてくれた
来た時には毎回、お花を変えてくれたり
色んな話をしてくれた
そんな今日は奏斗や雲雀たちが来てくれた
みんないつまでもどこまでも優しくて
今でもわたしがいるみたいに話しかけてくれる
せめて一回でも話ができたなら
もう一回だけ面と向かって話ができるなら
待って、行かないで
まだ言わないといけないことがあるから
今言わないともう言えない気がするから
会えない気がするから、まだ行かないで
まって、待って__
私の気持ちが強かったのか
みんなに姿は見えないが声が聞こえたらしい
今、今言わないともうきっと言えないから
姿が見えなくても最後にしっかり
伝えるべきことを伝えないと
泣くつもりなんてなかったのに
自然と目から涙が溢れて泣いていた
見えないはずなのにみんな優しく
微笑んでくれて、気にしなくていいって
言ってくれて心が温まる
もう、時間がない気がして
最後に声をかける
私が気恥ずかしそうに言ったのが
伝わったのか、笑いながら了承してくれた
だんだんと自分の体が軽くなっていく
私は最後まで、みんなに愛されて幸せだった
その言葉を言い終わった時、視界が
白くなって体が宙に舞った気がした
視界が白くなる前、奏斗、雲雀、アキラ、セラ
みんなと目が合った気がしてその時はちゃんと笑えた
私は最後まで生きられなかった
ちゃんとした人生は送れなかった
でもそれ以上に、大切な人がたくさんできて
大切な人にたくさん愛された
最後に笑顔で終われて、大切な人に
伝えたいことを伝えれた
これで私の不完全で完璧な人生は本当の終わり
今までありがとう大切な人たち
そして、さようなら大好きな人たち__
さようなら、大好きな人 Fin













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!